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 大阪高裁第12民事部(牧賢二裁判長)は、大阪地裁第2民事部(三輪コート)が2019年11月22日に言い渡した1審原告敗訴判決を変更して、1審原告の原爆症認定を見直す判決を言い渡しました。
 原審判決は、これまでの原爆症認定訴訟の司法判断の集積を無視した最低・最悪の判決でしたが(近畿弁護団が受けた判決の中でも最低の判決でした)、大阪高裁がこの異質な判決を変更し、1審原告の心筋梗塞について放射線起因性を認めたのは極めて大きな意味を持ちます。
 国はこの判決に上告せず確定させて、現行の認定基準を見直すべきです。
 以下は、判決に対する声明です。
2021年5月13日
ノーモア・ヒバクシャ訴訟大阪高裁判決についての声明
ノーモア・ヒバクシャ訴訟近畿原告団・全国原告団
ノーモア・ヒバクシャ訴訟近畿弁護団・全国弁護団連絡会
ノーモア・ヒバクシャ訴訟支援近畿ネットワーク

本日、大阪高等裁判所第12民事部(牧賢二裁判長)は、大阪地方裁判所が2019年11月22日に言い渡した請求棄却判決を破棄して、厚労大臣による一審原告の原爆症認定申請却下処分を取り消す判決を言い渡した。

一審原告は、4歳1か月の時に、昭和20年8月12日、長崎市竹ノ久保町に居住していた祖母らを探すために、母に連れられて爆心地から1.1~1.2kmの地点まで入市して被爆し、心筋梗塞に罹患し、2011年1月6日に認定申請をしたが却下されたため、2013年1月25日に却下処分取消しを求めて提訴していた。
原審は、一審原告の浴びた被曝線量を「具体的・定量的に明らかにすることができない」という基準を持ち出し、一審原告の放射線起因性を否定したが、本判決は「控訴人が健康に影響を及ぼす程度の線量の被曝をしたと認められる以上、その放射線被曝量が具体的・定量的に認定できないことによって、上記認定が妨げられるものではない。」として、一審判決の用いた基準を完全に否定した。
また、原審は、一審原告の脂質異常症や高血圧など他原因を理由に請求を棄却したが、本判決は「疾病の発症においては、一般に、複数の要素が複合的に関与するものであるから、他の疾病要因が認められたとしても、原爆の放射線によって当該疾病の発症が促進されたと認められる場合には、放射線の影響がなくても当該疾病が発症していたといえるような特段の事情がなければ、放射線起因性が否定されることはなく、放射線起因性を肯定するのが相当であるというべきである。」とした。そして、本件は、「これらの危険因子により放射線の影響がなくとも当該疾病が発症していたといえるような特段の事情があるとはいい難いから、控訴人の心筋梗塞については放射性起因性を肯定すべきである。」とした。
本判決は、原爆症の認定の在り方について被爆者援護法の趣旨に基づく認定をなすべきであるという原則を改めて明確にしたもので、その意義は極めて大きい。
本訴訟は2013年12月16日に改定した「新しい審査の方針」によってもなお、原告の原爆症認定申請は認められないとして国(厚労大臣)が争っており、被爆者が原爆症認定を受けるためには裁判を起こさなければならないという異常な事態がなお、続いているということを示すものである。
一審原告が原爆症の認定申請をしてから10年以上が経過しており、これほど長期間にわたって裁判をしてでも争ってきた厚生労働省の立場は改められなければならない。国は、上告を断念すべきである。
本年1月22日に核兵器禁止条約が発効した。日本は唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約の調印・批准をし、核兵器の非人道性を世界に訴えるべきである。
 その出発点となるのが、被爆者の声であり、被爆の実相である。

判決にあたり、ノーモア・ヒバクシャ訴訟原告団、全国の被爆者、弁護団は、国及び厚生労働省に対して、以下のことを求める。

1 「新しい審査の方針」の誤りを認め、これを変更し、全被爆者を救済すること
2 被爆者が「裁判をする必要がないように」被爆者援護法と原爆症認定の在り方を抜本   
 的に改め、被爆者の命あるうちに問題を解決すること
3 唯一の原爆被爆国として核兵器の非人道性を国際世論に訴え、核兵器禁止条約に加
 入し、核兵器廃絶国際運動の先頭に立つこと
以上


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2021.05.16 Sun l ニュース(原爆症裁判) l コメント (0) トラックバック (0) l top

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