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被爆二世の
ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟・裁判傍聴記(65)
今秋から来年にかけて山場を迎えるノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟!
社会的にも歴史的にも重要な意味を持つ裁判。それに恥じない判決を!
2018年8月31日(金)


 2018年(平成30年)3月末の被爆者のデータが公表された。全国の被爆者数(正確には被爆者健康手帳所持者数)は16万人を切り、154,859人となった。昨年より-9,762人(-6.0%)、1万人近い減少だ。平均年齢も82.06歳で昨年から0.65歳上昇した。手帳所持者数の最も多かったのは1980年(昭和55年)の372,264人とされており、今やその半数以下(41.6%)までになっている。核兵器の実戦使用が人間に対して何をもたらすか、その非人間性の有様を自らの体験で訴えることのできる生き証人が年を追って少なくなっていく今、一人でも多くの被爆者の体験を語り継ぎ、1日も早く被爆者の悲願-核兵器廃絶を成し遂げなければならない、という思いをあらためて強くする。

 被爆者健康手帳所持者数の内、原爆症認定されている人(いわゆる認定被爆者)の数は7,640人。被爆者総数の5%にも満たない、依然として低い水準に止まっている。いや、止まっているのではなく昨年の8,169人から-529人もの減少だ。一方で、認定被爆者からその「認定」が外された人が対象となる特別手当受給者数は、昨年の1,890人から378人も増えて2,268人となっている。新規の認定審査の厳しさが続くだけでなく、一度は認定を受けた人も、更新の手続きに際して、病気は完治したとみなされ、つまり医療的措置はもはや不要とされて、特別手当への切り替えが強引に進められているのではないか。深刻で懸念される事態を想定してしまう。

 記録にも記憶にもないほどの猛暑、酷暑が連日続く中、それを乗り超えて、今年の夏も核兵器廃絶を求め、平和を訴えるとりくみが広島、長崎を中心に各地で開催された。昨年7月7日の国連での核兵器禁止条約の採択から丁度1年、まだ発効には至らないものの世界の国々は着実に署名と批准を積み上げてきている。ICANのノーベル平和賞受賞は、核廃絶を強く求める各国政府と市民運動との連帯・共同こそが世界を牽引する力であることを示した。朝鮮半島の南北首脳会談、それに続く米朝首脳会談は、歴史を変え、未来に向けて希望の途を切り開いた。その土台には、営々と積み重ねられてきた世界の反核・平和運動の歴史と蓄積、そして特に韓国の人々の政治を国民の手に取り戻す熱い思いと運動のあったことを私たちは学んだ。
 広島市の平和祈念式典では、広島平和宣言において核兵器禁止条約への強い期待が述べられ、湯浅広島県知事の挨拶は「核抑止論」の誤りを痛烈に批判した。さらに、長崎市の平和祈念式典での平和宣言、そして被爆者代表・田中煕巳さんの「平和への誓い」では、核兵器禁止条約に背を向ける安倍政権への厳しい批判が率直に投げかけられた。
 両市の式典での安倍首相の挨拶は、核廃絶と平和を願う人々に対して、そして被爆者に対して、何も応えようとはしない最悪のものだった。核兵器禁止条約について一言も触れず、朝鮮半島含むこの一年の著しい国際情勢の変化について何も語ることがなかった。被爆者が最も強く求めているのは原爆症認定制度の抜本的改革と、「黒い雨」地域を含む被爆地域の適正な拡大などだが、それに対する言及も一切なかった。出てきたのは今年も「原爆症認定審査の迅速化」だけであり、これほど間の抜けた挨拶はない。これが被爆者に対して、世界に向けて発する一国の首相のメッセージなのか。あまりのお粗末さに恥ずかしい限りだ。
被爆者の実態に、被爆者が73年の生涯をかけて求めてきたものに、心から向き合い、国際社会の先頭に立って核兵器廃絶のリーダーシップを発揮していく、そのような姿勢を高らかに掲げる政府、政治を本当に実現していかなければならない。そのことを多くの人々があらためて肝に銘じる今年の夏となった。

 ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟は、5月16日(水)第7民事部(松永栄治裁判長)での医師証人尋問を終えて以降、この間、6月20日(水)第2民事部(三輪方大裁判長)の弁論、7月31日(火)第7民事部の弁論、8月27日(月)第2民事部の弁論と3回の法廷を重ねてきた。
 6月20日(水)第2民事部での弁論では、豊島達哉弁護士が今年3月27日の東京高裁判決の結果を明示して、同種の事件として、東京高裁判決と同じ立脚点に立って判断するよう求める意見陳述をした。東京高裁は6人の原告全員が放射線起因性を認められて勝訴した。6人の申請疾病は下咽頭がん、心筋梗塞(2名)以外にも、これまで積極的認定疾病の範囲にされてこなかった脳梗塞(2名)、バセドウ病まで含むものだった。国の主張する他原因論は徹底して排除された。そして国はこの結果を受け入れ上告を断念した。近畿訴訟第2民事部の原告7人の申請疾病も全員が固形がん、悪性リンパ腫、そして心筋梗塞だ。東京高裁判決を踏まえれば、そして上告しなかった(できなかった)国の判断に従えば、もはや争う余地などないはずだ。この主張に、国側代理人は正面から答えることができない。

 7月31日(火)第7民事部の弁論、8月27日(月)第2民事部の弁論では口頭での意見陳述はなく、文書での確認と進行協議によって秋以降の訴訟日程が確認されていった。

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 大阪地裁で争われている原告は第2民事部で7人(その内国家賠償請求のみの原告が2人)、第7民事部が4人。合わせて11人 のそれぞれの訴訟スケジュールは次のようになった。

第2民事部 Bグループ(淡路登美子さん、高橋一有さん)
 10月17日(水)13時10分から本人尋問と穐久英明医師の証人尋問
 2019年2月頃最終意見陳述(結審)
 2019年5月~6月頃判決(見込み)
Cグループ(Y・Mさん、O・Hさん、Y・Iさん)
 Y・MさんとO・Hさんは故人。Y・Mさんの入市状況の証人、O・Hさんの医師証人について調整中。
 次回弁論は10月31日(水)15時から
Dグル―プ(M・Yさん、N・Kさん)
 Cグループに続く審理を進行中。
第2民事部の次々回の弁論は2019年1月30日(水)15時から

第7民事部 Cグループ(T・Iさん、W・Hさん)
 10月31日(水)10時からT・Iさんの本人尋問、河本一成医師の証人尋問
Dグル―プ(苑田朔爾さん、K・Sさん)
 9月27日(木)13時30分から最終意見陳述、結審。
近畿訴訟も大詰めを迎え、今秋から来年にかけて、ノーモア・ヒバクシャ訴訟の本当に大きな山場を迎えていくとこになる。

 8月27日(月)第2民事部の法廷終了後の報告集会では、尾藤廣喜弁護団幹事長から、この夏の全国の弁護団合宿の内容や最高裁のことなどについて報告された。全国的には今、重要な争点として要医療性の問題が焦点化し、それとの闘い、対策が大きな課題になっている。例えば国は、白内障治療において点眼薬投薬は医療として認めないとか、経過観察だけの場合も医療行為とは認めないという事例が相次いでいる。原爆症認定された人が更新をする際に、要医療性の判断で継続が認められない例も著しく増加している。最高裁に上告されている案件でも要医療性が問題となっている例が多くなっている。全国の弁護団合宿ではこのことについての対策が重大課題となった。

 もちろん放射線起因性についても依然として争点であることに変わりはなく、それぞれどう対応していくかがこれからも問われてくる。ノーモア・ヒバクシャ訴訟の新規の提訴者は今後は予定できない。現在係争中の原告の判決を原爆症認定制度の改革にどうしても結び付けていかなければならない。
国会議員への働きかけも強めて、政治的運動もはかって早期に解決できるようにしていく必要がある。そのためにも、これから迎える近畿訴訟の一連の判決は大きな力となる。これまで以上の傍聴応援の参加も強め、裁判所への訴えも強めていこう。

 ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟で係争中の原告11人の内3人までが判決を聞くことなく他界された故人であり、遺族が承継して続けられている裁判だ。また健在ではあっても法廷まで出向いて証言したり、意見を述べることがもはや困難な原告も少なくい。被爆から73年も経過して、もはや被爆当時の詳細な記憶や証人証言などを求めることはできるはずがない。被爆者に具体的な立証を求めることなど限界を超えていることを理解しなければならない。その限界を乗り越えるためには、裁判所が被爆者の立場に立って、被爆者援護法の精神に則って、何より被爆者救済を第一に判断していく姿勢で判断していくことが求められる。これまで多くの裁判官がその立場で判断し、被爆者の被った被害を原子爆弾によるものと認め、国の責任で救済していくことを命じてきた。私たちは今も裁判所に、裁判官にそのことを強く求めていく。
裁判長の姿勢、態度が鋭く問われている。多くの市民の目、社会の目もそこに注目していることを示していかなければならない。この秋以降判決を迎えるノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟は社会的にも歴史的にも重要な意味を持つ裁判だ。それに恥じない判決を求めていこう、訴えていこう。

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以上は6月20日(水)第2民事部の弁論後の報告集会での藤原精吾弁護団長からの訴えの要旨。


ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟今後の日程
2018年 9月27日(木)13:30  806号法廷 地裁第7民事部 2人最終弁論
2018年10月17日(水)13:10 1007号法廷 地裁第2民事部 本人・医師尋問
2018年10月31日(水)10:00  407号法廷 地裁第7民事部 本人・医師尋問
2018年10月31日(水)15:00 1007号法廷 地裁第2民事部 弁論
2019年 1月30日(水)15:00 1007号法廷 地裁第2民事部 弁論
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2018.09.15 Sat l ニュース(原爆症裁判) l コメント (0) トラックバック (0) l top

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