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被爆二世の
ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟・裁判傍聴記(64)
闇は光に勝てない、嘘は誠に勝てない、真実は沈まない、私たちは諦めない!
「ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟・全面勝利をめざすつどい」に90人!
2018年6月4日(月)

 ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟の最初の提訴者(2008年7月9日)から丁度10年目を迎える6月2日(土)、「ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟・全面勝利をめざすつどい」が大阪グリーン会館を会場に開催された。被爆者、原告、弁護団、支援の人々あわせて90人が集まった。
 昨年の「つどい」開催は国連の核兵器禁止条約をめざす第2会期直前で、ホワイト議長案も既に発表されていた時だった。日本原水協の高草木代表理事の講演に、歴史的事態の進行に胸の高鳴りを覚えながら聞き入った。あれから1年、核兵器、被爆者をめぐる状況は大きな変化を生み出し、希望の光を見るようになってきた。7月7日史上初めての核兵器禁止条約が遂に採択された。 10月6日には日本被団協と共に世界の核廃絶を訴えてきたICANへのノーベル平和賞授与が発表された。平昌オリンピックを機に朝鮮等半島の南北交流が始まり、今年4月27日は南北首脳会談が実現。6月12日の米朝首脳会談も目前に迫ってきた。朝鮮半島の最大の課題は非核化。朝鮮半島の非核化と北東アジアの平和と安定化はもはや誰も止めることができない奔流となってきている。原爆症認定も、今年に入ってから大阪、広島、名古屋、東京と被爆の実相に基づいた、被爆者の願いに沿った画期的判決が相次ぎ、集団訴訟、ノーモア・ヒバクシャ訴訟で積み重ねられてきた被爆者運動の歴史の集大成を築き上げる時を迎えている。みんながこの1年の大きな変化、事態の進展を感じながらこの日の「全面勝利をめざすつどい」に集まることになった。

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 プログラムの一番目は日本被団協事務局次長の和田征子さんによる記念講演。演題は「草の根の運動が歴史を動かした―核兵器禁止条約の採択、そしてこれから」で、お話しは①母が伝える被爆証言、②被団協の設立から核兵器禁止条約採択まで、③核兵器禁止条約の内容、④バチカンでの国際会議、⑤そしてこれから の構成で進められた。

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 和田さんは1943年、爆心地から2.9㌔の長崎市中心地で生まれ、1歳と10ヶ月の時に被爆された。お母さんから聞かされた、伝えられてきた長崎の人々と被爆地の惨状を生々しい画像とともに語られた。戦後の歴史では、1946年1月26日の国連総会第一号決議が原子兵器撤廃のための提案を行う委員会設置を求めるものであったこと、1954年ビキニ水爆実験被災を契機に原水爆禁止運動と被爆者運動が始まっていったこと、1977年8月2日開催の「被爆の実相とその後遺・被爆者の実情に関するシンポジウム」(7・7シンポ)の果たした重要な意味が詳しく語られた。核兵器禁止条約については、議長草案で示された4つの基本方針(既存の国際文書を補う補完性、「抜け穴」を許さない強化、簡潔かつ非差別性、将来のことを念頭に置いた柔軟性)から説明され、そのお陰で条約本文一つひとつの持つ意味をより深く理解することにつながっていった。

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 和田さんは昨年11月10日~11日、バチカンでの国際会議「核兵器のない世界と統合的軍縮への展望」に出席されており、その内容と様子も報告された。会議では「すべてが結びついている」とする暫定的結論がまとめられたとも紹介された。武器としての核兵器だけでなく、開発に要する資金、労力、エネルギー、教育や環境等々人が平和に生きるための様々な権利が核によって蔑にされている実態。この問題解決のために共に頑張りましょう、対話して行動しましょう、と呼びかけられた。会議では和田さんもスピーチされ、和田さんに贈られた大きな拍手は被爆者全体に贈られた激励の拍手だったと感動的な様子も紹介された。

 和田さんは最後に「そして、これから」と題してこれからの私たちの運動について次のような訴えをされた。核兵器廃絶の運動をここまでやってこれたのは、三度目の核兵器の使用を許さなかったのも私たち草の根の運動の力と成果だった。核抑止力論はすでに破綻し、核を持たないことこそ最大の抑止力であることが明らかになっている。核を保有する国々、その政府だけでなく国民に対しても一層働きかけを強めていき、具体的な変化を作り出していこう。そのために被爆者はさらに被爆の実相を伝えていく。ヒバクシャ国際署名などの署名運動も強めていきたい。“一人ひとりの魂に届くような言葉”でもって働きかけていきましょう

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 休憩を挟んで二つ目のグログラムはシンガー・ソングライター川口真由美さんのミニコンサート。川口さんのうたごえは昨年の「つどい」でも披露され、大変好評だったので今年も是非ということになったようだ。熱唱は今回も参加者を力強く励まし、いっぱいのエネルギーがもたらされた。特に最後に唄われた韓国の歌は胸に強く響くものだった。この歌は、客船セウォル号沈没事故に際して当時の朴槿恵政権に対する抗議の歌として生まれ、その後韓国の朴政権打倒大運動の広がりと共に韓国国民を励まし続けた歌だと紹介された。最後のフレーズは、今の日本の、民主主義も憲法も破壊してしまおうとする策動とそれを許さない運動の状況ともピタリと重なり合い、私たちをも大いに励まし、勇気づけられるものだった。
“闇は光に勝てない、嘘は誠に勝てない、真実は沈まない、私たちは諦めない!”

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 三つ目のプログラムとして弁護団事務局長の愛須勝也弁護士から「ノーモア・ヒバクシャ訴訟の到達点と課題」が報告された。
ノーモア・ヒバクシャ訴訟の全国の提訴者は今日まで121人だった。この内、地裁の勝訴が56人(敗訴24人)、高裁の勝訴が6人(敗訴7人)、最高裁での上告棄却・不受理が2人、自庁取り消しによる認定が25人に至っている。現在引き続いて裁判を争っている原告は35人までとなり、内訳は地裁17人(大阪11人、長崎6人)、高裁13人(東京1人、広島11人、長崎1人)、最高裁(第三小法廷)5人(大阪3人、名古屋1人、広島1人)となっている。
 今年に入って各地で画期的な判決が相次いだ。1月16日の大阪高裁では甲状腺機能低下症の3人の原告に勝訴判決が下された。国はこの近畿訴訟控訴審に焦点を当てて甲状腺機能低下症についての司法判断を覆そうとあらゆる手立てを講じてきたが、それをはねのけ国の野望を挫いての勝訴だった。この判決の持つ意味は大変大きかった。続く1月23日の大阪地裁第7民事部では労作性狭心症の原告1人が勝訴した。判決理由は全面的に原告側主張に基づいたものだった。その結果は3月27日の東京高裁判決での狭心症疾病の判断にも、その後の近畿訴訟審理にも大きな影響を与えている。2月9日には広島高裁で白内障の放射線起因性、要医療性を認める判決が下されこれも全国に大きな影響を与えてきた。3月7日の名古屋高裁では要医療性を争点としていた2人の原告がいずれも逆転勝訴判決を得た。そして3月27日東京高裁で6人の原告全員が勝訴判決を勝ち取った。国は心筋梗塞などについてこの東京の控訴審に焦点をあてて全力を集中してきたがそれらはすべて退けることになった。東京高裁は狭心症も含めて、バセドウ病や脳梗塞など厚生労働省の定める積極的認定疾病以外の病気についても広く放射線起因性を認めた判決で、そのことの持つ意味も大変大きいものだった。
 ノーモア・ヒバクシャ訴訟、原爆症認定制度改革の闘いはいよいよ山場を迎えている。全国の弁護団では、上告された5名の原告の最高裁での闘いをどう勝利していくか、地裁・高裁合わせて7人の原告が闘う長崎訴訟勝利のための全国的な支援について、この二つのことに焦点をあてて対策を強めようとしている。
 ノーモア・ヒバクシャ訴訟の残された原告は35人。新たな提訴者はもはや難しい状況となっている。このまま裁判が終結していくだけとなれば、認定制度は何も変わらず、「被爆者の死に絶えるのを待つ」厚生労働省の思う壺になりかねない。高裁段階で勝ち取ってきた司法判断を力にして認定基準、認定行政そのものを実際に変えさせていくことが今何よりも重要となっている。日本被団協の提言された認定制度抜本的改定案をベースにしながらも、一連の判決に基づいて実際の認定基準を改めさせていくこと、具体的には積極的認定疾病の拡大、距離や入市日など被爆状況基準の緩和、要医療性基準の見直し等々をはかるよう、当面の改善要求を強く求めて実現していくことが求められている。4月18日に行われた院内集会では、野党合同ヒアリングを開催して厚生労働省に対して認定行政のあり方を問い正していく予定も明らかにされた。さらに与党も動かして全面的な解決に向けてとりくんでいくことになる。

 今年の夏に向けて、8・6に向けて大きな動きを作っていく必要があり、全国の弁護団もそのために頑張っていく。みなさんも一緒にさらに奮闘していこうと訴えられた。

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 この日の「つどい」には現在も裁判を闘い続けている原告が2人、1月の判決で勝訴した人が2人、あわせての4人の被爆者が参加されていて、紹介され、係争中のお二人に花束が贈られて激励された。

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 最後に西晃弁護士からまとめと閉会のあいさつが行われた。毎年この時期に「ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟・全面勝利をめざすつどい」を開催してみんなの団結をはかり、お互いを励まし合ってきた。しかし、いつまでも「勝利をめざすつどい」を繰り返していくわけにはいかない。一日も早く「勝利を祝うつどい」に変わることが求められている。ノーモア・ヒバクシャ訴訟の本当の山場を迎えた今、必ずそのことを実現していけるようにしよう、というよびかけが行われた。
 3つの行動提起(①引き続く傍聴支援と最高裁への要請署名、②厚労省に対して認定基準抜本的改定を求めていく、③「ヒバクシャ国際署名」を広げ2018年原水爆禁止世界大会を成功させる)を全員で確認して、この日の「つどい」を閉じた。




ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟今後の日程
2018年 6月20日(水)15:00 1007号法廷  地裁第2民事部 弁論
2018年 7月31日(火)13:10 806号法廷   地裁第7民事部 弁論
2018年 8月27日(月)15:00 1007号法廷  地裁第2民事部 弁論
2018年 9月27日(木)13:30 806号法廷   地裁第7民事部 弁論(結審)


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2018.06.09 Sat l ニュース(原爆症裁判) l コメント (0) トラックバック (0) l top

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