上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- -- l スポンサー広告 l top
5月10日の第7民事部の口頭弁論期日における吉江仁子弁護士の意見陳述の内容です。

吉江さん_convert_20160510202153
意見陳述の要旨
(原告Uさん)
平成28年5月10日
大阪地方裁判所第7民事部合議4係 御中
原告ら訴訟代理人 弁護士 吉江仁子 


1 本件の争点
  本件では、Uさんの被曝線量に関し、入市が、Uさんが当法廷で述べたように被曝後2日後頃であったのか、被爆者健康手帳交付申請書類に記載された8月14日であったのかが、唯一最大の争点です。その点に絞って、意見陳述を行います。(以下では、被爆者健康管理手帳のことを単に「手帳」といいます。)

2 入市日の特定方法について
(1)被告は、手帳交付申請書類の記載を唯一の理由に、Uさんの入市日は8月14日であると主張し、Uさんの当法廷での供述を、「新しい審査の方針」を意識して、変遷させたものである等と論難しました。
(2)しかし、その批判は当たりません。なぜなら、そもそも、日付や数字の記憶は曖昧になりやすく、手帳交付申請書類記載の日付が、入市日を特定する決め手にはなり得ないからです。ことに、Uさんの場合、手帳交付申請書類を作成したのは、被曝後36年もの月日が経過した後の昭和56年のことです。
   このように、入市日の特定は、類型的に過誤記載となりやすい手帳交付申請書類の記載だけでなく、被爆者の体験した事実に関する供述等に基づき慎重に判断されるべきです。

3 Uさんが体験した事実について
(1)手帳交付申請書類には、次のような記載もあります。入市した長崎の街のありさまとして、「ヤケノ原になって居ました。鉄コツ丈け。死亡者をカサネてヤイテおりましたのが今だに忘れられません」。また、「道ノ尾駅に行く途中、原爆にあった人の蚊の鳴く様なうめき声、水を呉れという声、道ノ尾駅で被爆者のやけどただれ、はえがたかりウジ虫がたかった姿はほんとうに忘れられません」。
(2)この入市時に体験した事実に関する記載は、Uさんの当法廷での供述内容と符合しています。それは、これらが、Uさんの体験した事実だからです。
Uさんは入市時の状況について、当法廷で次のように述べました。「嬉野へ行くため、国鉄の線路沿いに歩いて、長崎駅を通り、道ノ尾駅まで行った。線路沿いに歩きながら、汽車を見かけることはなかった。建物もなく焼け野原だった。道のわきでは、こっちもこっちも死体を薪のように積み重ねてぼんぼんぼんぼん焼いていて、赤い炎が見えた。戦争で脚を負傷して帰ってきていて杖をついて歩いていた父親、身重だった母親、姉、5歳年下の盲目の弟が一緒だった。死体を焼く臭いもきつく、道はがたがたで、妊娠中だったUさんの母親は道に足を取られてバランスを崩しよく転倒した。一家は、道ノ尾駅に着いたものの同日は汽車に乗れず、道ノ尾駅の表で夜を明かした。駅の表の大きな木の下に座って夜を明かしていたら、原爆にあった人の「水くれ、水くれい。」という声がした。翌日の汽車で道ノ尾駅から出立した。汽車は、道ノ尾駅からは出ていた。Uさんは、汽車に乗るとき、原爆にあった人たちが駅のベンチに座っていた。その人たちの足はずるむけになって、硫黄のただれで黄色くなって、ハエがいっぱいいた。玉音放送は、嬉野で聞いた。嬉野に着いた翌日ではなく、2、3日後のことである。」このように、Uさんの供述は具体的で迫真性に富むものでした。
(3)ところで、「長崎原爆戦災誌(第3巻、続・地域編終戦前後編)」によれば、8月15日頃には、長崎の町の中は、道ばたなど人目につくところの死体はすでに処理されていたとのことですので、その前日である8月14日の夜には、死亡者を重ねて焼いたり、やけどただれ、はえがたかりウジ虫がたかった被爆者が救護されないまま駅にいたということは考えられません。
   つまり、Uさんが入市時に体験した事実は、被曝2日後頃までの最混乱期の事実であって、8月14日の事実ではないのです。つまり、Uさんが体験した事実によれば、Uさんが、入市したのは、8月14日ではなく、被曝後2日後頃で間違いありません。
(4)被告は、Uさんが体験した事実には目を向けず、手帳交付申請書類に記載された日付だけにこだわり、Uさんを論難しましたが、高齢化した被爆者の救済という被爆者援護法の目的に照らし、かかる被告の態度が誤りであることは明らかです。
スポンサーサイト
2016.05.11 Wed l ニュース(原爆症裁判) l コメント (0) トラックバック (0) l top

コメント

コメントの投稿












トラックバック

トラックバック URL
http://fujiwaradannchou.blog50.fc2.com/tb.php/402-4966d8da
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。