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被爆二世の
ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟・裁判傍聴記(40)
控訴審Bグループ、国の圧力に屈する結論ありきの不当判決!
私たちは上告審に向けて闘いを強め、あくまで被爆者救済の勝利をめざす!
2016年2月27日(土)


 2月25日(木)、ノ―モア・ヒバクシャ近畿訴訟控訴審BグループのKさん(兵庫県伊丹市・故人、奥さんのH子さんが承継)に対する判決言い渡しの日を迎えた。12時30分裁判所前西天満若松浜公園に集合、いつものように事前集会をし、入廷行進をして判決に備えた。といっても判決言い渡しの行なわれる別館83号法廷は傍聴席が27席しかなく、内12席は記者が占めるので、私たち傍聴者は15人しか入廷が許されない。多くの人は寒風の中、裁判所前で判決を待った。

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(西天満若松浜公園での事前集会)

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(事前集会で裁判の争点について説明する塩見卓也弁護士)

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(事前集会で挨拶する藤原精吾弁護団長)

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(「ノーモア ヒロシマ・ノーモア ナガサキ 核兵器の禁止を」横断幕を広げて裁判所への入場)

 控訴審Bグループの高裁第7民事部(池田光宏裁判長)の審理は、初回が昨年10月23日でいきなり国側証人の山科章東京医科大学教授への証人尋問、2回目が11月27日で最終弁論と結審というテンポの早さだった。国の主張を証明しようとする山科証人の意見に対しては証人尋問の際にも最終弁論においても塩見卓也弁護士が徹底して批判し、国の主張の何が問題なのか、どこに誤魔化しがあるのか、私たちにも分りやすく解き明かされていた。最終弁論では愛須勝也弁護団事務局長から“被爆者援護法と松谷訴訟最高裁判決に立ち帰って判決しなければならない”ことが力強く丁寧に訴えられていた。昨年10月25日の武田武俊さんの逆転敗訴判決では入市日の事実認定が大きな問題とされたが、今回のKさんは事実認定に争いはない。放射線起因性そのものが真正面から問われてきた裁判だ。だから今度は必ず勝訴できるはず、との期待をもって傍聴席に座った。
 午後1時15分開廷。しかし判決は、原判決を取り消し、原爆症認定の訴えを却下すると下された。逆転敗訴、またもや不当判決だ。期待は裏切られた。塩見弁護士が苦渋の面持ちで「不当判決」の旗出しを行ない、裁判所前で待つ人々の間に、驚きと、怒りと、悔しい思いが広がった。報告集会会場の北浜ビジネス会館に移動する私たちの足取りは重かった。

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(判決報告集会で怒りの報告をする塩見弁護士)

 報告集会では、Kさんの裁判を担当してきた塩見弁護士から「ひどい判決だ!」の第一声を皮切りに、判決に対する怒りの発言が操り出されていった。急遽作成された原告団・弁護団・支援ネット連名の声明で指摘されている3つの問題点に沿って報告されていく。第1は、証拠関係を客観的に十分検討せず、結論に見合った証拠のみ恣意的に採用し、一方的な結論を導いていること。山科証人は放射線被曝と心筋梗塞との関係の専門家ではない、Kさんのカルテをまともに読んだ形跡もない、動脈硬化学会の最新ガイドラインでも示されている禁煙効果説がまったく認知されていない等々、山科証人の意見は徹底的に批判されその欺瞞性は暴かれていた。にも関わらず判決はほとんど山科証人の主張に則ったものになっている。山科証言に都合のよいデータだけが切り取って並べられている。塩見弁護士らの訴えてきた主張は「採用できない」の2行だけで片付けられ、しかもその理由すら述べられていない。「一審判決を取り消す、原爆症認定の訴えは却下する」、初めに結論ありきの判決だったとしかいいようがない。
 第2に、他原因が示唆されることを理由として、それだけでただちに放射線起因性を否定していること。仮に他原因があっても放射線の影響が競合することがあることなど全く考慮されていない。集団訴訟以来の判決は他原因があっても放射線の影響の可能性があれば起因性を否定することはできないとしてきたのだ。しかし今回の判決はこれまでとは違い、他原因に合理性があると判断すればそれだけで放射線起因性は切り捨てるとしている。第3は、松谷訴訟最高裁判決が示した放射線起因性の判断に求められる高度の蓋然性の程度を総合的に判断する手法に反し、被爆者に不当に高度な立証を要求していることだ。松谷訴訟判決は被爆による様々な状況、体験等を総合的に考慮して高度な蓋然性を認めるとしたが、今回の判決は被爆者が放射線の起因性を医学的にも具体的に立証しない限り認めることはできないとした。明らかに最高裁判決に反しており、それだけでも上告しなければならない問題だ。
 野口善國弁護士の説明がとても分りやすかった。他原因については比較的簡単にでも説明できればそれで合理的だと判断する。しかし放射線起因性については厳密に難しい証明を求める。二つの基準を勝手に設定して、それで他原因があったらそれだけで放射線起因性を否定してもよいとする、それが今回の判決だ。
 尾藤廣喜弁護団幹事長からは、判決は被爆者の被った被ばくの実態についてほとんど触れず、国の言う線量だけで判断するという根本的な問題が存在していることが指摘された。裁判官に対して被爆の実相を理解させていくとりくみもあらためて見直さなければならないのではないかとの提起だ。
 愛須勝也弁護団事務局長からは次のような報告がなされた。2013年12月16日に決めた新しい認定基準を守り切るために厚生労働省は物凄く大きなエネルギーを費やし、この基準を超えるケースは絶対に認めないという姿勢だ。そのためにはどんなに控訴を繰り返してでもなりふり構わずやってきている。且つ、国は、集団訴訟で全国のトップを切り、義務付け訴訟を訴え、ノ―モア・ヒバクシャ訴訟でも先頭に立ってきた近畿訴訟に最大の焦点をあててきた。一昨年5月の専門家を名乗る35人の連名意見書も最初近畿訴訟への提出だった。山科章という国側なりのエースの証人尋問も近畿で行なわれた。その他、赤星正純氏らによる放射線影響研究所の意見書も準備されていた。こちらは結局近畿訴訟には間にあわず東京高裁に提出された。
 原爆症認定制度問題は2013年12月の新基準で決着しており、これ以上どこまでも認定範囲を広げるわけにいかないという強い意思を国は示している。そのことに裁判所が屈したのが今回の、先に結論ありきの判決だ。それだけに今回の判決で勝訴しておれば全国的に与える影響はとても大きかったと思われる。残念ながら敗訴したことによって国は心筋梗塞についての基準を勢いをもって押し通してくるだろう。しかしとてもじゃないけど受け容れることなどできない、認めるわけにはいかない判決だ。

 重苦しい報告集会の雰囲気を振り払うように二人の被爆者から手が挙がり、発言がなされた。
 一人は女性の被爆者。70年前の被ばく線量など分るはずがない。70年前のことを言うなら、「もし被爆などしていなかったら」と思うだけだ。たまたまあの日広島、長崎にいただけで、差別されたり、病気になったり、苦しんできた。被爆者は戦後12年間放ったらかしにされ、どれだけの人が亡くなったか。その悔しさを胸にしてきた。集団訴訟以来勝ち続けてきたことがどれだけ心強く、嬉しかったか。福島第一原発事故以降、国の被爆者に対する姿勢、目が変わってきたと思う。原爆症を容易に認めると福島の人たちに影響してくる。だから被爆者もこの際潰してしまえ。そんなことが見え見えのようで悔しい。最高裁も国の圧力に屈しなければいいけど。それに負けるわけにいかない。原告、弁護団、支援の人々、辛いけどみんなで頑張っていこう。Kさんの奥さんにも頑張って欲しい。2回も連続して辛い思いをしたこと、どこかでひっくり返したいです。
 もう一人は男性の被爆者。Kさんと同じような被爆体験した人がたくさんいた。在郷軍人という人たちがいて、原爆の落とされた後救援のために市内に入って行った。その人たちが田舎に帰ってから次々と亡くなっていった。免疫力の低下から、身体がもたなくなって次々と死んでいった。Kさんはたまたま生き延びた人だ。16歳だった私も若かったせいか生き延びてきた。被爆者はいつも、いつ病気が発症するかと不安にかられながら生きてきた。原爆が落とされて10日で亡くなるか、30年後に発症するか、70年後に出てくるかの違いだ。支え合って、助けられて今日までやってこれたが、今86歳、まだ死ねない。認定制度が改善され、核兵器が無くなるまで。

 判決、記者会見、そして報告集会へと一日参加されてきたKさんに労いと激励の花束が贈られ、Kさんからお礼の言葉が述べられた。
 「まるで無罪の人が有罪判決を受けたような悔しい気持ち」と、藤原精吾弁護団長から報告集会最後の挨拶が切り出された。今日の判決だったら厚労省の基準でも認められなくなる、それほどひどい判決だった。最高裁の壁は厚いけど引き下がるわけにはいかない。武田さんの上告と共に、Kさんの上告審もしっかりと闘っていきたい。我々が徹底的にやれることをすべてやり切ってきたかと言うと、まだ不十分さは残してきた。そのことは反省しなければならない。裁判所を取り巻く情勢、世論作りも不足していた。そのことを乗り越えていかないと最高裁で控訴審判決を覆すことはできないだろう。やらなければならないこと、やり切ることができることはたくさんある。これから更に頑張っていきましょう。

 私たちは決して屈したり諦めたりはしない。不当な判決なのだから、そのことを徹底して訴えて、最後は圧倒的な世論が包み囲む中で、正義の審判を勝ち取っていく。被爆者の一日も早い救済を実現していくために。すべての福島原発事故被災者を救済していくために。原告団は原告団の、弁護団は弁護団の、それぞれの役割がしっかりと果たされていくように、私たち支援ネットワークも、これまで以上に更に奮闘していくことを誓いあいたい。何よりもノーモア・ヒバクシャ訴訟の現状を徹底して広く知らせ、支援の輪が何倍にも広がるようにしていく必要がある。そのための真剣な方針検討と、各地の積極的な活動経験の交流等をただちに始めていこう。

 来週は3・1ビキニデーを迎える。ビキニ環礁における核実験の被害の全貌は長く秘匿され覆い隠されてきたけど、今真実を暴き、日米両方政府の責任を追及する運動が始まっている。被災した漁船乗組員への船員保険適用による実際上の労災認定の求めと、船員を切り捨ててきた棄民とも言える政策の告発だ。多くの乗組員が若くして命を失い、生き残ってきた人たちも放射線による病気に苦しんできた。そのことを黙って見過ごすことのできなかった人々によって、長い長い粘り強い運動は、事件から62年目、遂にここまで到達してきた。
 すべての核被害者の人たちと手を携え、被害者の完全救済と、核の脅威から解き放たれる社会の実現めざして、共に闘っていこう。


ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟今後の日程
2016年 3月11日(金) 11:00 地裁第2民事部 1007号 弁論(原告5人)
2016年 4月21日(木) 11:00 高裁C 第13民事部 202号 弁論(原告6人)
2016年5月10日(火) 11:00 地裁第7民事部 806号 2人結審
弁論(原告5人)
2016年7月22日(金) 14:00 高裁C 第13民事部 202号 弁論(原告6人)

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2016.02.28 Sun l ニュース(原爆症裁判) l コメント (0) トラックバック (0) l top

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