被爆二世の
ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟・裁判傍聴記(23)
司法判断を冒涜し被爆者の願いを踏みにじる国の訴訟態度は許されない!
弁護団の大奮闘で国側主張の論拠を徹底批判!
2014年10月2日(木)
 
 
ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟は、7月11日(金)第2民事部(西田隆裕裁判長)Aグループの結審と、7月22日(火)第7民事部(田中健治裁判長)Bグループの弁論を終えて以来、例年になく鬱々とした夏を挟んで、この9月から法廷での闘いを“再開”するように裁判期日を迎えた。
8月は毎年、首相から被爆者援護や核兵器の廃絶に向けて何らからの多少は前向きなメッセージが発せられてきた。昨年は直前にあった原爆症認定訴訟の判決に対し国は控訴しないことを明らかにし、年内には認定制度あり方検討会の結論を得る、とかの発言があった。しかし今年は最悪だった。広島・長崎の平和記念式典で集団的自衛権の行使容認閣議決定を批判されると「国を守るためだ」と開き直り、認定制度改定を求められても「昨年末にまとめた新方針の推移を見守る」としか語らない。挙句の果ては首相の記念式典挨拶が昨年の丸写しであったことまで暴露されて、被爆者に寄り添うなどまったくの虚言であることがあからさまになってしまった。広島の8月6日が雨になったのは43年ぶりとのことだが、「この雨は戦争する国づくりに暴走する安倍内閣に対して被爆者が流す涙だ」と語った人がいた。同感の念を抱いた人は多かったと思う。
第2民事部は9月26日(金)午前11時からBグループの口頭弁論が行われた。Bグループの原告は4人で7月に続く法廷だが、被告国側が8月13日付で求釈明申立書を提出したため、その求釈明の提出そのものを批判し、回答する必要など一切ないことを明確にするための意見陳述を豊島達哉弁護士が行った。

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 豊島弁護士の陳述によると国の求釈明とは、①原告主張の「急性症状」の定義は?②「被爆後の健康状態」主張の意義は?③どのような事実から「放射性起因性」を主張するのか?④各原告は何グレイ被爆したと主張しているのか?などといったものだ。原爆症認定集団訴訟と引き続くノーモア・ヒバクシャ訴訟おいてこれらのことについては既に明確な司法判断が下されており、今さら回答する必要などないことばかりだ。10年も前に遡って裁判を一からやり直そうとする国の態度は、原告への求釈明という形を通じた、実は司法への挑戦、冒涜以外のなにものでもない。そして、一日も早く決着し、原爆症認定を急がれている被爆者へのあまりに非情な仕打ちではないか、と豊島弁護士は訴えた。このような司法を愚弄する求釈明は今回限りにするよう国に対して厳しく求める陳述だった。

2週連続となる翌週の9月30日(火)午前10時30分からは、今度は第7民事部Bグループの口頭弁論が行われた。このグループも原告は4人。第7民事部は前回、国が総論部分の求釈明への回答がない限り各論部分についての主張立証には入らないとのあからさまな訴訟遅延行為を主張したため、法廷の場で原告側代理人から厳しく批判されたところだ。今回は、国の提出した第6準備書面に対して、それを全面的に批判した原告側第3準備書面の要旨を説明する形で諸富健弁護士が意見陳述を行った。国の第6準備書面は、「原爆症認定制度あり方検討会」最終報告書を踏まえて昨年末改定した認定新方針は「科学的知見」に基づくものでそれを超えた放射線起因性判断は誤りだと主張するものだ。諸富弁護士は、そもそも国が拠り所とする「あり方検討会」自身が設置された段階から重大な欠陥を持ち、その結論である報告書が正しい認定の指針などには到底なり得ないことを、全面的な展開で批判していった。「あり方検討会」は司法と行政との乖離解消を目的に設置されたはずのものだったが、「司法判断は個別例であって、判決を一般化した行政基準を設定することは困難」などと述べ、本来の設置趣旨をまったく捻じ曲げてしまった検討会議論を今更のように思い出す。司法判断の価値、値打ちをこのように蔑にした「あり方検討会」そのものに対しても厳しく断罪して欲しいと思うほどだ。諸富弁護士は裁判所に対して、このような国の不誠実な姿勢につきあうことなく、適切な訴訟指揮を行なうよう求めて陳述をまとめた。
意見陳述の後、訴訟進行に関わる双方の準備書面、反論の予定が確認された。原告側からは国の訴訟遅延策である総論議論などには乗らず、各論である個別原告の立証をさっさと進行させていくことを明らかにし、確認された。

10687052_776929282381801_2544848075311879061_n(報告集会)_convert_20141006210600
両日の裁判終了後の報告集会では、法廷傍聴だけでは分らないこの間の弁護団の大奮闘、訴訟進行の実際の様子、全国の運動状況も報告された。国はこの春から方針転換し、これまでの司法判断などなかったような態度で、ちゃぶ台をひっくり返すそもそも論からあらためて争おうとしてきているが、持ち出されてくる主張は従来とまったく同じことの蒸し返しでしかなく、徒に訴訟遅延だけをはかろうとするものだ。弁護団は国の訴訟態度に対して厳しい批判を加えつつ、国の出してくる準備書面や意見書に対しても必要な事項については徹底した反論を行なっている。今回諸富弁護士が陳述で説明した第3準備書面も全国の弁護団の英知を集めた120ページ以上にも及ぶ詳細なものとのことだ。故武田武俊さんの控訴に際して国は35人の「有識者」連名によるこけおどしの意見書を出してきたが、これに対しても斉藤医師個人による全面反論の意見書が提出され、さらに医師団としての反論意見書も準備されている。弁護団の大奮闘によって、国に対する厳しい対決姿勢によって、勢いよく反転攻勢をかけようとしたかに見えた国側の体制、動向にも、今陰りが見えているような報告がいくつもなされた。
全国的には、日本被団協が被爆者援護法を改正して新しい制度を確立するよう各党へのはたらきかけを強めている。東京ではノーモア・ヒバクシャ訴訟を分りやすく説明した新しい広報用パンフレットを作成準備中とのことだ。訴訟を提訴する原告も全国でさらに広がっている。近畿でも新しく2人の提訴が準備されている。
来春1月~2月には、近畿以外にも東京、熊本、広島で判決が予定されており、大きなヤマ場を迎える。この時期を目指し、一気に抜本的制度改定に結び付けていくよう、全国の力を一つにして運動を盛り上げていく必要性があらためて訴えられた。
間もなく10月10日(金)、故武田武俊さんの控訴審第1回期日を迎える。この夏とりくんできた『国の非人道的な控訴は直ちに棄却し原爆症と認めてください』と控訴棄却を求めた署名は1,572筆となり9月16日提出された。控訴審の進行見通しは予断を許さないが、今回もしっかりとした傍聴参加を行い、支援のとりくみを強め、必ず勝訴判決確定を勝ち取っていきたい。
尚、9月26日(金)の報告集会では第2民事部Bグループの原告T・Iさん(三木市在住)も初めて参加され、第7民事部Bグループの原告T・Iさんと共に紹介され、参加者の暖かい拍手に迎えられた。
 
ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟今後の日程
10月10日(金)
15:00
大阪高裁
別館82号
武田さん控訴審
12月10日(水)
11:00
第2民事部
1007号
弁論
12月12日(金)
11:00
第7民事部
806号
弁論
2015年
1月30日(金)
 
11:00
 
第2民事部
 
1007号
 
Aグループ判決言い渡し
 

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2014.10.06 Mon l ニュース(原爆症裁判) l コメント (0) トラックバック (0) l top

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