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被爆二世の
ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟・裁判傍聴記21
国の本腰を入れた被爆者切り捨て方針に対して私達の運動の新しい攻勢を!
第2民事部Aグループ7人の原告が結審、判決は来春1月30日!
2014年7月13日(日)
 
 
ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟大阪地裁第2民事部(西田隆裕裁判長)のAグループは、7月11日(金)結審を迎えた。原告は7名。内の一人塚本郁男さん(姫路市在住)は先々月の5月18日、82歳で他界され、無念の訴えとなったことを私たちもこの日初めて知らされた。

1007号法廷には4人の原告も出席され、傍聴席は満席。午後1時30分開廷した。結審に際して、原告を代表して柴田幸枝さん(京都市在住、74歳)、亡くなられた塚本さん担当の園田洋輔弁護士、弁護団を代表して豊島達哉弁護士の3名から最後の意見陳述が行われた。
柴田さんは自身の5歳の時の被爆の状況、闘病人生、提訴に至った経緯を、本人尋問の際の証言内容に基づいてもう一度より簡潔にしっかりと述べていった。一緒に被爆した父親も母親も既に他界しているが、原因は明らかに原爆による影響としか思われない。両親の無念さを晴らすためにも私の原爆症認定を訴え、病体を励ましながら今日まで頑張ってこれたと率直な思いを陳述した。7人の原告は、亡くなられた方もある、体調が厳しく出廷できない人もある。しかしみんな私と同じように裁判所に対して直接最後の訴えをしたかったであろうと述べ、国の責任を認めるきちんとした判断の下されることを求めた。

園田弁護士は、塚本郁男さんの本人尋問の時に明らかにされた被爆状況に加えて、左半身全体に及んだ火傷と瘢痕(ケロイド)と、それのもたらした厳しい健康状況、生活状況をさらに説明し、その一生は原爆によって苦しめられた一生であったと断じた。塚本さんは平成21年(2009年)に認定申請、1年半以上も経って却下処分。平成23年(2011年)提訴したが、国は要医療性がないとして塚本さんの苦悩を一蹴する主張を繰り返すままだった。認定申請から5年もの年月を費やし、それでも判決の日も認定の知らせも迎えることはできなかった。「国は、私達が死ぬのを待っているのでしょうか。私には、そのように思えて仕方ありません。」と述べられた塚本さん本人の意見陳述がそのまま当てはまる事態となり、あらためて国の非道な行政を糾弾した。園田弁護士は最後に「原爆症訴訟に参加するすべての原告が、今、命をかけて、この裁判に臨み、歪んだ原爆行政を糺す判決を望んでいることを、今一度改めて思い起こしていただきたいと思います。」と結んだ。

最後に豊島弁護士からAグループ結審にあたっての総括的な意見陳述が行われた。主要点は二つで、一つは「国の突然の総論主張立証」について、もう一つは国家賠償が認められるべき状況にあることについて。
原爆症認定訴訟は放射線起因性の判断基準についての総論部分と、各個別原告の認定要件該当性についての各論部分とで争われているが、総論についてはすでに争点とする必要がないほど司法判断は確立している。被告国側も従来からの主張を繰り返すだけで新しい論議は行なわず、各原告に対する要件該当性についての主張立証をし、今回のAグループについても訴訟進行されてきた。ところが国側は結審期日を直前にして最終準備書面提出段階で新たな「証拠」書類なるものを提出し、これまで争点としてこなかった総論を突然争点化しようとしてきたことが陳述の中で明らかにされた。私達傍聴者にはなじみのない言葉だがこれを「時期に遅れた攻撃防御方法」と言うのだそうだ。豊島弁護士は、被告のこの不意打ちとも言うべき“掟破り”の主張立証を裁判所は却下すべきだと主張した。
今回のAグループ7人の原告の認定申請疾患は、すべて過去の司法判断で放射線起因性による原爆症と認められたものばかりだ。狭心症しかり、心筋梗塞しかり、甲状腺機能低下症しかり。塚本さんの火傷瘢痕(ケロイド)についても過去2つの勝訴判決が存在し、しかもその内の1人は塚本さんと同じ広島商業中学の同じ状況下で被爆した事例だ。しかもすべてが認定申請に対する国の処分決定以前に下されている判決なのだ。国がこれらの司法判断を真摯に受け止めて認定行政しておれば、原告らは一人として裁判に立ち上がる必要はなかったし、物理的にも精神的にもかくも大きな苦しみを背負うことはなかった。しかし、国は今現在も司法判断に従おうとはせず、やむなく提訴に至った原告は全国に存在する。裁判に訴えることのできたものだけが、しかも数年の時間を費やして初めて認定されるという異常な事態は、司法判断に背を向け続ける国の違法な認定行政に原因がある。この異常な事態を解消するには、国の認定行政が国家賠償法上の違法状態にあると認めなければならないではないか、と豊島弁護士は強く主張した。
最後に“原爆症に苦しむ被爆者の方々に勇気を与える判決をしていただくよう願う”と訴えて陳述を終えた。
被告の「時期に遅れた攻撃防御」について西田裁判長は判決の中で取り扱うと回答し、Aグループの判決を来春年明けの1月30日(金)午前11時言い渡すとした。
引き続くBグループの第1回弁論が行われ(口頭弁論はなし)、次回弁論を9月26日(金)午前11時から行なうと確認して、この日の裁判を終了した。Bグループは4人の原告だが、内1人は今年度に入ってからの提訴であり、その一人については併合せず切り離して審理するよう被告国側が主張する一幕もあった。被爆者のために可能な限り速やかな裁判進行を行なおうとするのではなく、できるだけ引きのばし、時間をかけることに狙いがあることが透けて見える主張だった。
 
いつものように会場を弁護士会館会議室に移して報告集会が行われた。今日出席された4人の原告(内一人は亡くなられた塚本さんの奥さん)が正面に着席され、それぞれに今日の感想と挨拶が述べられた。塚本さんの奥さんは、塚本さんが今年3月に大きな手術をされ、その後回復傾向にはあったが、5月18日遂に帰らぬ人となられた様子についても語られた。6月に誕生するひ孫の顔を「見たい、見たい」と言いながら、最後はそれを励みに生きて来られたようだ。奥さんは、塚本さんのことを「よく頑張ってくれた、ええ顔をして亡くなった」と述懐された。

塚本_convert_20140711211334

塚本さんのことになると、どうしても昨年10月23日の本人尋問で語られた塚本さんの証言を思い起こしてしまう。左半身全体に大火傷を負った塚本さんは郷里の実家に搬送されても、家族からも敬遠され、母屋にも入れてもらえず、納屋でのみ横たわることを許され、お祖母さんの看病だけを頼りに長く苦しい日々を生きなければならなかった。回復後もケロイドのため差別的な言葉を浴びせられ続けた。あの日証言を聞いて私は、原爆は、塚本さんの身体だけでなく、心にも深い深い傷を負わせたのではないかと思った。そして奥さんがその傷をそっと癒し続けられてきたような気がしてならなかった。
塚本さんの最期の日々を語る奥さんの姿には、原爆によってもたらされた過酷な生涯に塚本さんと奥さんとが一緒になって立ち向かい生き抜いてこられたことを、今日あらためて深く感じずにはおれなかった。
園田弁護士からは、その塚本さんと一緒に判決を迎えることのできなくなった悔しさと、そうであるだけに一層力強く国の認定行政の誤りを訴えていきたいとする決意が示された。

園田_convert_20140711211447
 
総括的な最終意見陳述を行った豊島弁護士から陳述内容の二つの主要点についてもう一度丁寧な説明が行われた後、その豊島弁護士、報告集会司会の西晃弁護士、そして弁護団事務局長の愛須勝也弁護士から、国が本腰を入れて被爆者切り捨ての行政を進めようとしている実態、背景について説明され、私達の運動の再強化の必要性が訴えられた。

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国は、一連の司法判断に抗し、2009年8月6日の確認書、所謂「8・6合意」の約束など存在しなかったかのような態度で今、原爆症認定行政を被爆者切り捨ての方向で進めようとしている。昨年12月16日に定めた新しい認定基準を絶対のものとし、これを1メールでも1時間でも超えるものは一切認めない方針だ。ノーモア・ヒバクシャ訴訟の一審で敗訴しても国の新基準を外れるものは判決確定しない。控訴してでも、最後は最高裁に及んでも争う姿勢を明らかにしている。
今年度から医療特別手当受給者の更新審査を都道府県に命じて突然に厳しく行なうこととし、すでに広島県、広島市などで大量の申請却下(特別手当への切り替え)が発生している。これも「在り方検討会」の最終報告書(2013年12月4日)に厚生労働省のリードによって敢えて書き込まれた「要医療性の判断の厳格化」を根拠にしていると思われる。
大阪高裁への控訴に際して国側は「原子爆弾による放射線被曝と健康影響に関する意見書」なるものを証拠書類として提出してきた。「意見書」は本文8ページほどのものだが、要するに原爆症認定集団訴訟、引き続くノーモア・ヒバクシャ訴訟において下されてきた司法判断は誤りであると批判し、放射線の健康影響は「国際機関や学会等で広く合意された知見に依拠することが重要」とする、従来からの主張とまったく同じことを繰り返し述べているにすぎない。違うのは仰々しい片書きをこれ見よがしにつけた35名もの「専門家」の署名・捺印がつけられていることだ。署名・捺印だけで7ページも割き、これだけの「権威ある専門家」が連名で主張している意見書なのだ、裁判所など「素人」が勝手に間違った判断などしてはならない、とばかりに強圧的に裁判所批判を展開した意見書だ。愛須弁護士はこの意見書を御用学者意見書と名付けて批判した。
意見書は最後の部分で「放射線の健康影響に関する科学的知見について誤った認識が国民に浸透し、放射線防護や規制についても根拠が損なわれるなど、大きな影響が及ぶことを、放射線による健康影響に関わるさまざまな学問を専門として、研究、臨床や教育に真摯に取り組んできた者として、大変憂慮している。」と述べている。これまでの司法判断は原爆症認定に止まらず、放射線防護や規制にも大きな影響を与えかねない、すなわち、「これから福島原発事故被災者の対策にも大きな影響を与えることになるから正しく判断せよ」と語っているようなものだ。原爆症認定訴訟の実績は福島原発事故被災者の対策にも大きく関係する。「放射線被曝は低線量被曝、内部被曝も含めて総合的に検討しなければならない、非ガン疾患にもしきい値は認められない」など示されてきた一連の司法判断は原爆症を超えて放射線の健康への影響一般にも通用し広がっていく。国としてはそうした流れを、広がりをどうしても断ち切らなければならない。意見書はその背景にあるもの、目的を正直にも語って見せたのではないか。
実際に福島では子ども達の甲状腺がんが疑い含めて既に90人も発見され人々の不安は大きく広がっている。しかし国も県も放射線との関係を認めようとはしていない。避難解除準備区域を設定し順次強制避難地域を少なくしていく計画だがその基準は年間空間追加線量20ミリシーベルト以下とされている。あのICRPでさえ安全の限度値を1ミリシーベルトとしているのであり、それと比較すると20倍もの線量でも県民に受け入れさせようとしている。
国の基本的な方針、態度が明らかになってきた今、私達のとりくみを、もう一度態勢を立て直して行こう、あらためて攻勢をかけていこう、と愛須弁護士から訴えられた。
今回の報告集会では偶然のことから元裁判官の森野俊彦さん(原爆症認定集団訴訟の大阪高裁審理を裁判官として担当)をスペシャルゲストとして迎えた。森野さんからは「大変でしょうが頑張って下さい」と激励の挨拶を受けることができた。最後に藤原精吾弁護団長のまとめで報告集会を終了した。

森野_convert_20140711211518
 
 7月1日、平和を願い、憲法9条の遵守を願う圧倒的多数の国民の声を踏みにじって安倍内閣は集団的自衛権の行使容認を閣議決定した。歴史的犯罪と言っても過言ではないと思う。戦争による惨禍を最も酷い状態で被ってきた被爆者にとって耐え難い暴挙だ。核兵器の廃絶と戦争の根絶を願い、それを戦後人生の原点にしてきた被爆者にとって絶対に許すことのできない決定だ。どのような理由がつけられようと、どのような事情にあろうと私達の国は絶対に戦争をしてはならない。全国の被爆者が、支援する人々が一致して安倍内閣の暴挙を糾弾し、閣議決定の撤回を強く求めているはずだ。
 しかし、閣議決定が強行されたことによって反対に人々の不安感は増し、理性ある目で私達と国の将来を考え、政治の現実を見極めようとする人々は急速に増えているのではないか。あらゆる世論調査で集団的自衛権の行使に反対する意見は賛成を上回り、安倍政権の支持率は急速に低下している。自・公政権が暴挙を重ねれば重ねるほど、存立基盤は掘り崩され、政権の維持は困難さを増していくのではないかと実感する。戦後68年間の時間をかけて培われてきた私達の平和主義のDNAは健在だ。決して壊されることはない。
 原爆症認定制度も同様に、放射線の人体に与える影響の真実の姿から広く訴え、広範な人々の声と力によって支えられる運動を進めていけば必ず勝利することはできる。福島原発事故被災者の人々の健康と生活と権利を守り、勝ち取っていくことと合わせて運動を強めていこう。

団長幹事長_convert_20140711211542
 
ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟今後の日程                         
7月22日(火)
11:30
第7民事部
806号
弁論
9月26日(金)
11:00
第2民事部
1007号
弁論
10月10日(金)
15:00
大阪高裁
別館82号
武田さん控訴審
2015年
1月30日(金)
 
11:00
 
第2民事部
 
1007号
 
Aグループ判決言い渡し

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2014.07.15 Tue l ニュース(原爆症裁判) l コメント (0) トラックバック (0) l top

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