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被爆二世の
ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟・裁判傍聴記⑯
認定制度再改定基準を断罪し、再度の制度改定を実現していくために
3月20日大阪地裁第7民事部判決で必ず勝利を!
2014年3月10日(月)
 
 
2013年12月16日(月)、厚生労働省・被爆者医療分科会において「新しい審査の方針」の再改定が承認された。再改定は、非ガン疾患につけられていた「放射線起因性が認められる」という文言を削除し、代わりに「直爆が爆心地から2.0km以内である者」および「原爆投下から翌日以内に1.0km以内に入市した者」という新たな外形標準基準設定を主な内容としている。被爆者に対する新たな線引き、切り捨て基準の明確化だ。
3年に及ぶ「原爆症認定制度の在り方検討会議」は26回もの会議を行ない、12月4日に最終報告書をとりまとめた。日本被団協を代表して検討会委員に参加してきた田中熙巳日本被団協事務局長等の強い反対意見にも関わらず強行されたものだ。検討会では、あろうことか、司法判断と行政との乖離の一因が非ガン疾患につけられている「放射線起因性が認められる」という抽象的表現にあるとし、それを排して「分り易い」線引き=外形標準基準設定をすることによって乖離は縮小するなどといった本末転倒のとんでもない議論が平然と行なわれていた。実際そのことは最終報告書に明記され、それを取り込む形で審査方針の再改定が導かれた。
日本被団協、集団訴訟全国原告団、集団訴訟全国弁護団連絡会は連盟でただちに抗議声明を出した。声明は、今回の認定基準再改定によって認定者数が大幅に増えることはあり得ない、一連の司法判断に背くもので司法への挑戦だ、昨夏の安倍首相、田村厚労相の言明にも反する、再度の改定を求め抜本的改善実現まで闘い続けることを表明した。
メディアも一斉に認定基準再改定について報じた。支援ネットのメーリングリストに投稿された各紙記事を見ると、再改定では基本的な問題解決にならないこと、新たな切り捨てなりかねないことをきちんと報道している全国紙、地方紙も少なくない。「一部基準緩和」と見出しするメディアでも多くは日本被団協等の反対意見を必ず併せて報道している。12月19日深夜放送されたNHKの「時論公論」では原爆症認定制度と今回の再改定の問題についてとても分り易く説得力ある内容で解説されていた。私たちの頑張り次第で世論は変えていける、その力で厚生労働省を包囲し、まだまだ基準の再度の見直しも可能であることを実感させるものだった。
「基準の緩和」報道が大きかったせいか、京都原水爆被災者懇談会にも被爆者から何件かの問い合わせが相次いだ。そして中身を知るや落胆をもたらすことになった。厚労省の定める積極的認定基準は京都府発行の『原爆被爆者のしおり』等にも掲載され、それらを通じて周知されている実態がある。被爆者は誰でも自らの病気、健康障害について原爆の影響を考え、被爆の関係を疑わざるを得ない。非ガン疾患について「放射性起因性の認められる」とされれば、当然私の病気は原爆によるものと多くの被爆者が確信し、認められるものと思って認定申請してきた。そこに頭から被爆距離や入市日を具体的に限定して条件をかぶせられてしまうと、誰しもが申請段階から躊躇し、諦めてしまうことになる可能性は高い。今回の再改定は申請自体の抑制をねらったものと思えて仕方ない。申請が減れば却下処分のケースも、却下された場合の提訴も減る。外形標準によって司法との乖離は縮小するとは本当の意味はそういうことなのか。
報道によると厚労省は「再改定によって現在400人程度の非ガン疾患認定者数は先々4,400人規模に増大する」と語ったと言う。何を根拠にそのような試算を示すのか。厚労省官僚は責任をとらなければならない。そもそも直爆2.0km以内、翌日1.0km以内入市という被爆の中でも特別過酷な条件下で被爆した人々がどれだけ生き長らえているというのか。「そんな人はもうそう多くは生きていないよ」というのが被爆者の偽らざる実感だ。
再改定基準は論外。放射線の影響による疾患はすべて認定される基準、制度に変えていくために、当面の判決を勝訴し、あるべき認定の実態を具体的な形で世論と全国の被爆者に指し示していかなければならない。
 
大阪地裁第2民事部(西田隆裕裁判長)のノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟第9次原告の原野宣弘さん(68歳、宇治市在住)は体調がよくないため本人尋問は年明けの1月21日(火)、宇治簡易裁判所に出張して行なわれた。一般傍聴はできなかったので、後日、稲垣眞咲弁護士から当日の尋問の様子を伺った。
原野さんは右側体幹機能傷害を持つ不自由な体だが、当日はおして一人で裁判所まで足を運ばれた。午後3時から尋問開始、原告側、被告側双方とも代理人は5人、裁判官は右陪席裁判官1人の出席のもとで行なわれた。
主尋問は稲垣弁護士が担当。被爆時の状況、急性症状のことなどを重点に、地図上で一つひとつ丁寧に確認しながら尋問は進められた。原野さんは長崎市で生後10ヶ月の時に被爆。爆心地からの距離は2.5キロ~3.1キロだったが、消息を絶った父親を探すため裸に近い状態で母親に背負われて爆心地まで入市している。その日数は8月11日から1週間にも及ぶ。反対尋問は直爆距離の部分的な修正、急性症状の説明が後になって(提訴時から)行なわれた事情等についてであったらしい。本人の記憶などあり得ない生後間もなない時のこと、被爆後68年も経過した今、状況説明に多少の曖昧さが生じてもそれは当然で、むしろその方が自然ではないかとさえ思う。そんなことより残留放射線渦巻く爆心地へ、乳飲み子が1週間も毎日入市し続けた事態の深刻さを考えなければならない。申請疾患の心筋梗塞、労作性狭心症が放射線によるものであることの確信が揺るぐはずもない。
原野さんは重度の言語障害もあって口頭での証言は短い言葉でしかできない。そのため「裁判所に申し上げたいこと」とした文章が用意されていて、最後に稲垣弁護士からそれが代読された。一昨年の2月22日、大阪地裁第二民事部においてその日も出廷できなかった原野さんに代わって稲垣弁護士が意見陳述を行った。その時、原野さんの描いた2枚の絵がカラー写真で掲げられたことを印象深く記憶している。リハビリも兼ねて絵を画いているとは言われていたが、原野さんの本当の思いはそうした事情をはるかに越えたところにあった。父親を奪われ、女手一つとなった母親の凄絶、悲惨な人生と原野さんを含む5人の兄弟を現したのがあの絵で、母親の人生の無念さと怒り、国の理不尽な行為への原野さんの心の叫びを重ね合わせて描いたものだと文章では説明されている。「私の叫びと一緒に、母親の墓場からの叫びを重ねて聞いていただきたい」と裁判所への訴えは結ばれていた。

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2月20日(木)のノーモア・ヒバクシャ訴訟支援学習会のとりくみ(近畿弁護団・支援近畿連絡会共催)をはさんで、2月26日(水)午後1時20分から大阪地裁第2民事部では上記の原野さんも含む4人の原告に対する2人の医師の証人尋問が行われた。今回から第2民事部は残念ながら202号大法廷を明け渡し1007号に法廷を移して行なわれる。傍聴席は全35席と少なく、さすがに今回は満席で埋まった。原告は原野さん以外全員出席、柴田幸枝さんはご夫妻で、傍聴席から尋問を見守られた。
最初の証人は大阪・西淀病院副院長の(あき)(ひさ)英明医師で、原野さんとN・Mさん(74歳の男性、兵庫県川西市在住、申請疾患は狭心症)についての証言が行われた。主尋問は、狭心症・心筋梗塞と放射線起因性の関係の総論及びN・Mさんについて和田信也弁護士が担当。原野さんについては稲垣弁護士が担当した。
後半の証人は宇治市・あさくら診療所所長の河本一成医師で、柴田幸枝さん(73歳、京都市伏見区在住)とN・Mさん(70歳の女性、神戸市在住)の訴えについて証言された。二人とも申請疾患は甲状腺機能低下症だが、柴田さんは加えて白内障も申請されている。主尋問は、甲状腺機能低下症と放射線起因性の関係の総論および柴田さんについて諸富健弁護士が、N・Mさんについて野口善國弁護士が担当した。
4人の原告に対していずれも、被爆状況から相当量の内部被曝、外部被曝を受けていること、急性症状が確認されること、申請疾患と放射線被爆との因果関係が明瞭に証明されていった。主尋問の中から伺われる被告側の主張や反対尋問の内容は相変わらずの他原因論の羅列だ。それらのすべてが主尋問の中で反証された。
そもそも狭心症、心筋梗塞、甲状腺機能低下症等の申請疾患については、昨年8月2日の同じ大阪地裁第2民事部で既に明確な判決が下されている。しかも被告は控訴せずに判決を受け入れたのだ。判決後に余程の新しい事態でも発生していない限り、被告の主張はますます陳腐さを増し、矛盾は拡大するばかりだ。それどころか、柴田さんとN・Mさん(女性)については今回の再改定基準すらクリアしている可能性が高い(翌日爆心地1km以内入市)。そんな状況だから、最早被告側に争う根拠も論理もないのではないかと思わざるを得ない。
尚、柴田さんは白内障も申請しており、河本医師からその放射性起因性と要医療性についても証明された。柴田さんから詳しい被爆体験を聞かせていただいた際、片方の目の白内障はかなり進行していて、裁判に目途がついてから手術を急ぐとのことだった。一日も早い病状回復を祈るばかりだ。

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3月6日(木)、ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟は今度は第7民事部(田中健治裁判長)において、第15次から第17次までの4人の原告にかかる弁論が行われた。11時30分開廷、原告側代理人を代表して弁護団事務局長の愛須勝也弁護士が昨年12月16日の厚生労働省の審査方針再改定決定以降の事態を踏まえて、あらためてノーモア・ヒバクシャ訴訟の持つ意味を総論として展開した。
今回の認定基準再改定において、従来の非ガン疾患につけられていた「放射線起因性が認められる」という不当な留保条件に変えて、直爆2km、翌日1km以内入市という新たな外形標準基準を設定した。しかし、再改定基準に基づいて係争中の全国の原告95人の再審査が行われたところ、認定はわずか16人、73人は再び却下となっている。大阪地裁原告では3人が認定され、それ以外はすべて却下だ。昨年8月の大阪地裁第2民事部判決で勝訴判決を受けた8人の原告に再改定基準を当てはめてみても認定に該当するのは1人だけ。再改定基準が被爆者の願いに背き、決して被爆者を救うものでないことは事実が示している。
被爆者の被爆線量は被爆状況、行動、活動内容、症状等に照らして総合的に評価し、外部被曝、内部被曝の可能性含めて検討しなければならない、心筋梗塞にしきい値は認められない、低線量域でも甲状腺機能低下症は発症する、これが昨年8月の判決であり、集団訴訟でも多くの裁判所が同様に示したところだ。今回の再改定がこの司法判断の到達点を真っ向から無視し、矛盾するものであることは明らかだ。
戦後68年もの時間が経過し被爆者の高齢化が進行している。提訴しても途中で亡くなる方も相次いでいる。当時の被爆状況や急性症状を立証することも著しく困難になってきている。それでも国が現在の行政態度をとり続ける限り被爆者は訴訟によってしか認定を得ることができない。
繰り返し認定行政の誤りを指摘してきた司法判断を真っ向から無視し、被爆者切り捨てを進める国に対して、国家賠償請求を含む判断の示されることを強く望む、と訴えて弁論は締めくくられた。
大阪弁護士会館に会場を移して行なわれた報告集会では、再改定基準に基づく再審査のこと、今月20日に迫った第7民事部の最初の判決に向けたとりくみのことが中心となった。
再改定基準に基づいて一度は却下処分された申請が再審査されていることは愛須弁護士の弁論で紹介された。しかしそれはあくまで提訴している原告についてのみで、却下処分されて提訴できなかった多くの被爆者には及んでいない。係争中の被爆者はまだ処分が最終結論に至っていないからというのが(再審査する)理屈かもしれないが、「認定して欲しければ裁判すればいい」という国の傲慢な行政態度を露骨に見せつけられているよう気がする。提訴することも困難な多くの被爆者は、この事態をどう受け止めるのだろうか。
多くの被爆者の期待も願いも踏みにじって昨年末再改定基準が決められた。厚生労働省は3年にも及ぶ在り方検討会を経て一つの結論を出し、認定行政改定議論の区切りとしたつもりだろう。昨夏安倍首相から出された「年内に結論を」という宿題にも応えたつもりなのだろう。しかし、これでは多くのメディアも指摘しているように司法判断と行政との乖離は放置され、被爆者を救うことはできない。
この再改定基準の誤りを具体的な事実で満天下に示すことのできるのが今月20日の第7民事部判決だ。年末に定められた再改定基準を3ヶ月後には司法判断で断罪し、ひっくり返す。判決は328日(金)の熊本地裁にも続く。直近の司法判断に基づいて世論にも訴え、国政にも訴え、あらためて認定基準の見直しを求め、勝ち取っていく。そのために41日(火)の予定で国会院内集会も準備されている。
320日の判決はとても重要な意味をもっており、必ず勝利判決を勝ち取らなければならない。そのための運動、行動も強めていこうとの決意が確認された報告集会だった。メディアの注目度も高く、すでに弁護団からの記者レクも行なわれ、多くはない傍聴席だが記者席用が13席は確保されたとのことだ。
3月20日(木)判決を、事前の開廷前集会、傍聴席、その後の報告集会すべてを、原告、弁護団、支援者いっぱいの参加で迎えよう!
 
 
ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟今後の日程
3月14日(金)
13:30
第2民事部
1007
第6次
医師尋問
3月20日(木)
13:10
第7民事部
806
第5・8・10次
判決
509日(金)
11:00
第2民事部
1007
第3次・4次
判決
5月29日(木)
11:30
第7民事部
806
 
弁論
7月11日(金)
13:30
第2民事部
1007
 
 
 

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2014.03.14 Fri l ニュース(原爆症裁判) l コメント (0) トラックバック (0) l top

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