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8月2日(金)ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟最初の判決、8人全員が勝訴!
厚生労働省は控訴するな! 一日も早く認定制度の抜本的改革を!

                                      2013年8月5日(月)

ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟と名付けられてから初めて迎える判決が8月2日(金)、大阪地裁第二民事部において言い渡された。原告8人全員の認定却下処分は取り消され、原爆症と認定せよと、8人の原告全員の勝訴判決が下された。

原告、弁護団、支援の人々は朝10時40分に大阪地裁前に集合。炎天下、100名近くの人々が入廷行動開始に備えた。いつもは裁判所前の若松浜公園で判決前集会が行われるのだが、今回は公園改修工事のため集会は中止。10時45分、原告を先頭に入廷行動開始。メディアの注目度も高く、カメラの砲列を前にした行進となった。

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202号法廷は記者席も含め90の傍聴席は埋め尽くされ、原告席には今日出席の6人の原告が着席した。判決を前にした静かな緊張感が張り詰める中、11時開廷。
西田隆裕裁判長代読によって山田明裁判長の判決の主文読み上げが始められていった。前半、原告の山口さん、山内さんの名前に続いて「義務付けを求める部分を却下する」の言葉があり、一瞬自分の耳を疑う。後の6人の原告については「却下処分を取り消す」と「認定せよ」の言葉をはっきり聞き取ることができ、そこは勝訴を確信する。傍聴席からではあり、裁判特有の言葉や言い回しに不慣れな私たちには、判決の結果全体のことがすぐにはよく分らない。そのまま読み上げは終わり、「全員勝訴にはならなかったのか」と思った瞬間、裁判官の退廷と同時に、原告代理人席から「全員勝訴です!」の声が飛んだ。その前に、和田信也弁護士杉野直子弁護士が旗出しの旗をつかんで法廷の外へ駆け出して行っていた。

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裁判所前では入廷せずに判決を待ち望んでいた人々の輪の中に「全員勝訴」「ヒバクシャの苦しみに終止符を!」の二つの旗出しが掲げられ、すでに大きな歓声に包まれていた。やがて裁判所前は法廷から駆けつけてきた人々と一体となり、「やった!」「よかった!」「万歳!」の歓声がひときわ大きく響いた。しばらくの間興奮冷めやらない状況が続いた。
弁護団による判決の分析、記者会見のためしばらくの時間を置いて、12時20分から勝利の判決報告集会が中之島中央公会堂・地下大会議室において始められた。会場はいっぱいの人々と喜びと熱気に満ちていた。

最初に司会の西晃弁護士から8人の原告一人ひとりの判決結果について整理して説明がなされた。兵庫県太子町在住の今岡淑巳さん:狭心症、兵庫県T市在住のS・Hさん:心筋梗塞、加古川市在住の田島嘉一さん:心筋梗塞、京都市在住で昨年他界されたH・Sさん:舌がん術後後遺症と甲状腺機能低下症、神戸市在住の宮永平八郎さん:甲状腺機能低下症、神戸市在住の山口幸雄さん:心筋梗塞、兵庫県播磨町在住の山内正春さん:心筋梗塞、神戸市在住の和田文雄さん:甲状腺機能低下症。以上が今日の裁判で勝訴した原告と認定された疾患だ。山口さんと山内さんはこれ以外にもそれぞれ白血球減少症と貧血症の認定を訴えていたが、こちらは要医療性の要件で認められず「却下」となった。決して放射線起因性が否定されたわけではない。判決の読み上げ前半で耳にした「却下」はこのことで、一部退けられたが判決全体に影響を与えるものではなかった。原爆症認定と同時に求められていた国家賠償の訴えは今回も認められなかった。

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愛須勝也弁護団事務局長から判決全体についての評価と特徴点について報告が行われた。その要旨は以下のような内容だった。
今日の判決はほぼ100%原告側の主張が認められた完勝に近い勝利判決だ。入市の事実そのものを認めないケースや、発症原因を高齢や高脂血症、喫煙等あれこれ他に求めようとする国側の主張はすべて退けられた。国側の主張する被曝線量の算定方法はあくまでも一応の目安にとどめるべきで、被爆者の被曝状況評価は、被爆状況、被爆後の行動、活動内容、被爆後に生じた症状等に照らし、内部被曝の可能性も含めて総合的に検討される必要があると、あらためて放射線起因性の判断の枠組みが明確に示された。その上で、狭心症と放射線被曝との関連性を認め、さらにそこにしきい値は存在しないとあらためて確認された。心筋梗塞についてもしきい値は存在しないことを明確にした。甲状腺機能低下症も、低線量域においても放射線被爆との関連性のあることが認められた。心筋梗塞、甲状腺機能低下症はもともと積極的認定疾病だが、国はこれまで「放射線起因性が認められる」ことを条件づけて実際上は却下処分を重ねてきた。そのことの不当性、そもそも「放射線起因性が認められる」などの条件はつけてはならないとする判断がはっきりと下された。
原告の一人H・Sさんは甲状腺機能低下症と合わせて舌がん術後後遺症の認定を求めていたが、そのことの放射線起因性も認められた。ヴァイオリニストであったH・Sさんは放射線被曝によって舌がんを発症し、その治療のために右上肢拳上傷害を起こし遂にはバイオリンを続けることができない体になった。ヴァイオリニストとしての人生を全うすることが許されなかったH・Sさんはその原因が原子爆弾にあることをどうしても認めさせたくて、強い意思をもって提訴した。担当の塩見卓也弁護士も詳細な立証を展開してそれを支えた。残念ながらH・Sさんは昨年11月18日他界され、今日の判決を聞くことはできなかった。しかし、H・Sさんの思いは届き、全面的に訴えが認められる判決となった。今回の判決の中でも特筆すべきことの一つだ。塩見弁護士は今、大槻倫子弁護士と共に判決後直ちに東京へ向かい、厚生労働省との交渉に臨もうとしている。H・Sさんの悔しい思いを厚労省に直接ぶつけるために。
8月6日、9日を前にしての今日の判決、8人全員の勝訴の持つ意味はとても大きい。マスコミも注目した。全国からも注視され、傍聴にも各地から駆け付けていただいた。認定制度の抜本的改革、全面解決に向け、今日の勝利判決を大きな一歩にしていこう。
愛須弁護士の報告に基づいて若干の質疑応答が行われた。判決を受けてこれから国側がどう対応するかが当然、当面の最大問題だ。「国は控訴するな!」の声を圧倒的に集中していくことが必要だと強調された。控訴期限は2週間、8月16日(金)だ。
国家賠償については今回も認められず、そのハードルの高さが説明された。しかし、これほど多くの判決で国の認定行政の違法性が断じられても、国はそれを無視し、判決に従って行政を変えようとはしない。司法をも軽んじる国の態度に対しては、司法からの何等かの強いメッセージが必要なのではないか、との意見には、全員が同じ思いを持ったのだと思う。

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(広島から応援に駆け付けてくれた佐々木猛也・広島弁護団団長

報告集会の途中から記者会見を終えた原告と弁護団が参加、集会はさらに盛り上がった。尾藤廣喜弁護団幹事長から記者会見の様子が報告された。

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会見は原告団、弁護団、支援ネット連盟の声明の説明から始められた。強調された点は、現在の厚労省の認定基準が正面から批判されたこと、原告全員が勝訴したこと。判決を受けての各原告の思いが語られた後、いくつかの質問があった。「原爆症認定制度のあり方に関する検討会」に対しては、今回の判決は、しきい値論の誤りなどその間違いを真正面から突き付けたメッセージであると説明されたこと、今後については、厚労省に「控訴するな!」の声を集中していくよう訴えたこと、等が報告された。

ノーモア・ヒバクシャ訴訟の主人公である、この日出席された6人の原告のみなさん一人ひとりから感謝とお礼、これからについての挨拶が行われた。田島嘉一さんは、弁護士やみなさんのおかげで何とかここまで辿りつくことができた、とにかくありがとうございますと述べられた。宮永平八郎さんは、認定申請から今日まで6年、長い長い年月だった、もっと早く結論が欲しかったとその思いを率直に述懐された。和田文雄さんは、今日は半分嬉しく、半分国に対しての怒りを新たにしたと話された。そして機械的、実務的な行政ではなく、被爆者の実態に寄り添った行政こそが求められると強調された。山口幸雄さんは、これからはまだ認定されていない人々を同志と思い、支援していきたいと語られた。山内正春さんは、心筋梗塞は認定されないと諦めていた時もあったが頑張ってよかった。そして未認定の人々が一日も早く認定されるよう応援していきたいと述べられた。今岡淑巳さんは、生きているうちに勝ててこれほど嬉しいことはない、これからは新しいヒバクシャを作らないための運動に参加、参列していきたい、生きている限り力を尽くしていきたいと決意を述べられた。
自らの苦労、苦難を明らかにして、生涯をかけて闘う原告がいればこそ、ノーモア・ヒバクシャ訴訟も多くの人々が団結して闘うことができている。これからも一緒に頑張って行きましょうと、感謝と激励を込めた花束が全員に贈られた。

義務付2次判決報告集会

 今日の判決は本当に多くの人々の注視と参加の中で迎えられた。報告集会の隣の会場ではたまたま大阪原水協の企画「ピースインおおさか・海外代表と語る集い」が催されており、そこに参加されているアメリカフレンズ奉仕委員会のジョゼフ・ガーソン氏はじめ4人の海外代表からも報告集会会場でお祝いと連帯の挨拶が寄せられた。

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そして、同じノーモア・ヒバクシャ訴訟を闘う広島と名古屋からの参加者の挨拶も行なわれた。広島からは佐々木弁護団長が、名古屋からは被爆者支援ネットの長尾さん、原告の高井さん、原水協事務局長の嶺本さんからお祝いとそれぞれのこれからの決意が述べられた。傍聴には東京弁護団の内藤雅義弁護士も参加され、厚労省要請行動のために一足先に帰京されたことも紹介された。

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 報告集会は最後に弁護団長の藤原精吾弁護士の挨拶で締めくくられた。尚、藤原団長は近畿訴訟弁護団長だけでなく、全国のノーモア・ヒバクシャ訴訟弁護団長にも就いておられることが紹介された。挨拶の要旨は次のような内容だった。

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今日の勝利判決の意味はとても大きい。全国の運動を前進させていく節目の判決となった。今日は一人も負けるわけにはいかないと強い気持ちをもって判決を迎えた。
大勢の人々の力で勝ち取られた結果ではあるが、被爆者が自ら立ち上がって、「これ(私のいのちと体)を見ろ!」と訴えてきたからこそ、みんな励まされてやってこれた。そのことをあらためて強く銘記したい。
しかし今日の判決もまだ通過点だ。これからさらにやらなければならないことがある。第一に、「控訴するな!」と厚労省に強く求めていくこと。第二に、認定行政を抜本的に改めさせていくこと、第三に、被爆者に対して国が本当に責任を認めて補償するようにしていくこと、そして第四に、核兵器という非人道的なものを絶対に無くすために日本が世界をリードしていくよう運動を展開していくこと。
共に前進していきましょう。引き続き頑張っていきましょう。
最後に原告の皆さんに対して、もう一度大きく、長く続く拍手が送られて、午後2時過ぎ、報告集会を終了した。
 判決、報告集会終了後も行動は止まらず、その情報はリアルタイムのように「原爆症認定訴訟・近畿弁護団通信」ブログに掲載され、原爆訴訟支援メーリングリストで発信されている。
 8月3日当日は判決後、午後3時30分から厚生労働省に対する要請行動が行われた。近畿弁護団から大槻弁護士、塩見弁護士が上京。東京の被爆者、弁護団のみなさん中心に40~50名もの参加だったと報告されている。熊本からも原告が駆けつけられている。厚労省は面談の申し入れには頑なに応じず、最後は要請書の読み上げと、「控訴するな」のメッセージを伝えることで行動は終えられている。そのことを知らせるブログは怒りに満ちている。
 8月3日には、大阪地裁判決を受けて広島でも原告団による記者会見が行われた。国は判決結果を真摯に受け止め新基準に忠実な審査をしろ、控訴をするな、と訴えられている。広島の原告数も28人に及んでいる。
 8月4日付で「厚生労働大臣に対して『控訴するな』の申し入れをしよう」との提起が原告団、弁護団、支援ネットの連名で発信された。提訴以来3年半の時間を費やした。もともとの認定申請まで遡ると最も長い人で7年もの年月をかけてやっとここまで辿りついたのだ。年齢も多くの原告がすでに80歳を超えている。最高齢の原告は87歳にもなられる。厚生労働省は人の道にかけて絶対に控訴などしてはならないだろう。そして私達は絶対に控訴など許してはならないだろう。
 ノーモア・ヒバクシャ訴訟の支援ネットは、裁判の傍聴などももちろん重要だが、今こそ「控訴するな!」の声を圧倒的に広げて、集中し、役割を果たす時ではないか。支援ネットの真価と存在価値が問われる時だ。

 昨年6月13日以来の裁判での本人陳述を思い起こしながら、傍聴日誌を読み返してみながら今回の判決を迎えた。8人の原告の内5人までが当時広島市民であり、長崎市民だった。家族と共に被爆し、家族と共に親・兄弟姉妹の安否、消息を訪ねて劫火と対峙し、廃墟の街をさまよい歩き回った一人ひとりの証言をあらためて思い浮かべる。原告の親・兄弟姉妹の多くがすでに明らかに原爆症と思われる病気によって他界されている。今日の判決は原告本人への必要な援護を約束するものではあるが、同時に、同じ苦しみを抱きながら逝った親、兄弟姉妹、家族への思いも込めたメッセージでなければならないと思う。
3人の原告は軍隊に所属していて救援のために広島、長崎の市内中心部に派遣命令を受けての入市被爆だった。あの時、軍人、民間問わず多くの人々が救援、救護、親族・知人捜索のために市内中心部に駆け付けた。残留放射線を浴びることも、内部被曝のことももちろん知ることなく。戦後政治の中で放射線の危険性は過小評価され、特に内部被曝は徹底して隠ぺいされた。今回の3人の原告もそのために長い裁判闘争を強いられたようなものだ。今も国、厚生労働省の基本的な態度は変わらない。それに応じて本当の被害は拡大し、深刻さは増しているのではないか。ノーモア・ヒバクシャ訴訟も通じて、入市被爆も含む内部被曝の真実は徹底して追求されなければならない。福島の被災者のこれからとも深く結びつけながら。


ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟今後の日程

9月 4日(水) 13:30 大阪地裁202号 第2民事部 医師尋問
9月12日(木) 14:00 大阪地裁806号 第7民事部 医師尋問
10月15日(火) 11:00 大阪地裁806号 第7民事部 5・8次結審
10月23日(水) 未定 大阪地裁202号 第2民事部 本人尋問
12月11日(水) 未定 大阪地裁202号 第2民事部 本人尋問
12月12日(木) 11:30 大阪地裁806号 第7民事部 10次結審


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2013.08.06 Tue l ニュース(原爆症裁判) l コメント (0) トラックバック (0) l top

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