3月9日、大阪地方裁判所第2民事部(山田明裁判長)は、2名の原告について、原爆症認定申請却下処分を取り消し、うち1名については、全国で初めて、国に対して、原爆症認定の義務付けを命じました。

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 原告らの申請疾病は、いずれも国の「新しい審査の方針」において積極認定の対象疾病とされている心筋梗塞であり、かつ、それぞれ積極認定の範囲とされる「被爆地点が爆心地より約3.5キロメートル以内である者」、「原爆投下より約100時間以内に爆心地から約2km以内に入市した者」でした。
 しかし国が、上記基準にもかかわらず、実際の認定審査において、心筋梗塞につきごく限られた近距離被曝者を除きすべて却下するとの運用を行ってきた結果、原告らも積極認定の対象でありながら却下されたのです。
 これに対し、今回の判決は、各種知見を総合すれば心筋梗塞と放射線被爆との間には有意な関連を認めることができ、そこに一定のしきい値は存在しないと考えることが合理的であるとした上で、原告らが健康に影響を及ぼす程度の放射線被曝を受けていること、放射線被曝との関連性が疑われる疾患に次々かかっていること、若年時に被曝していること、新審査の方針の積極認定の対象であること等を総合的に考慮して、原告らの心筋梗塞の放射線起因性を認めました。これは、従前積み重ねられてきた集団訴訟判決の到達点ともいえる判決であり、かつ、国が自ら策定した「新しい審査の方針」に従った審査を行うべきことを正しく指摘したものであって、国が控訴する余地はもはやないというべきです。

 2009年8月6日、国と日本被団協との間で調印された「原爆症集団訴訟の終結に関する基本方針に係る確認書」においては、「一審判決を尊重し、一審で勝訴した原告については控訴せず当該判決を確定させる。」こととされ、国はこの確認書に基づき、従前の集団訴訟についてはすべて控訴せず一審判決を確定させてきました。今回の原告らは同確認書の対象外ですが、2009年8月6日、内閣官房長官が談話において、「19度にわたって、国の原爆症認定行政について厳しい司法判断が示されたことについて、国としてこれを厳粛に受け止め、この間、裁判が長期化し、被爆者の高齢化、病気の深刻化などによる被爆者の方々の筆舌に尽くしがたい苦しみや、集団訴訟に込められた原告の皆さんの心情に思いを致し、これを陳謝します。」と述べた謝罪の言葉は、当然ながら原告らにも妥当するものです。

 原告らの年齢はすでに80歳を超えています。原告の一人は、被爆の事実を隠し続けてきましたが、自らが苦しんできた疾病が原爆によるものと確信し、勇気をふりしぼって訴訟を闘ってきました。当初提起した認定義務付け訴訟につき2010年4月には判決が言い渡される予定でしたが、その直前に厚労省が却下処分を行った結果、今回の判決言い渡しまでさらに2年もの年月を要しました。原告中村さんは、却下処分後、訴訟となり解決が長引く間に脳梗塞を発症し、重い後遺障害を残しました。勝訴判決を受け、言語障害が残る中で言葉をふりしぼり、「本当に長かったです。60何年を経てようやく終戦がきました。」と涙ながらに述べたその思いを、これ以上踏みにじることは断じて許されません。

 国が今回の判決に控訴することなく、判決を確定させることを強く求めます。
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2012.03.11 Sun l ニュース(原爆症裁判) l コメント (0) トラックバック (0) l top

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