1 「被爆者」と「被曝者」
「被爆者」といえば、広島・長崎で原爆の被害を受けた人というのが一般的な感覚でないかと思います。
紛らわしい言葉もあるので、ちょっと解説します。
似たような言葉で、「被曝」(「バク」の字が違います)というのがあります。
人体などが放射線や化学物質にさらされることを「被曝」と言います。そして、放射線や化学物質を浴びた人のことを「被曝者」と呼びます。一般的には放射線を浴びた人のことを「被曝者」と呼びます。
原爆の「被爆者」は、原爆の放射線を浴びているので、「被曝者」でもあるのですが、原爆という爆弾による被害者であることから、特別に「被爆者」という呼び方をします。
チェルノブイリ等の原発事故の被害者は、「被曝者」というのが正しいのです。
「被曝者」は「被ばく者」とも書きます。
また、原爆被害の総体をとらえて言及する際には「被爆」、放射線の被害に着目して言及する際には「被曝」というふうに使い分けるのが一般です。
ということで、原爆の被害者は「被爆者」です。

2 「被爆者」の区分
「被爆者」は平成20年3月末現在、約24万人おられます。
で、この「被爆者」にも様々な区分があります。
① 原爆が投下された瞬間に、広島や長崎の一定の地域にいた人のことを直接被爆者(1号被爆者)と言います。みなさんが一般的に想像する被爆者だと思います。
② 原爆が投下されてから2週間以内に、広島や長崎の一定の地域に立ち入った人のことを入市被爆者(2号被爆者)と言います。親族を探しに中心部に立ち入った一般人や、救助・救護活動のために中心部に立ち入った軍隊や医療関係者などがあたります。
③ 直接被爆もしていないし入市もしていないけれども、中心部から離れた救護所等で原爆放射線の影響を受けた人々の救護活動に当たった人のことを救護被爆者(3号被爆者)と言います。法律上の要件は、「身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者」とされているので、救護活動に当たった場合に限定されるわけではありませんが、3号被爆者の多くは救護被爆者です。
④ ①から③に該当する当時、胎児であった人のことを胎内被爆者(胎児被爆者、4号被爆者)と言います。放射性物質を呼吸や飲食等で体内にとりこんで被曝するときに用いられる「体内被曝」と紛らわしい(発音は一緒な)ので注意して下さい。
上記の要件に該当して、被爆者健康手帳(被爆者手帳)を交付されている人が法律上の「被爆者」です。

3 「被爆者」の人数
平成20年3月末現在の厚労省の統計では被爆者の内訳は以下のようになっています。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/genbaku09/15a.html
合   計 →243,692人
1号被爆者・直接被爆者→150,133人
2号被爆者・入市被爆者→61,203人
3号被爆者・救護被爆者→24,928人
4号被爆者・胎内被爆者→7,428人

集団訴訟が始まった平成15年の時点で、被爆者合計が273,918人でしたから、4年間で3万人の被爆者が亡くなっていることになります。
参考までに、1957年から2007年までの被爆者の人数をグラフにしてみました。
被爆者数の推移
被爆者の平均年齢は75歳と言われていますので、これからも被爆者の人数は加速度的に減少していくことは間違いありません。
原爆症裁判の一日も早い解決が必要なんです。

4 事実上の被爆者
「被爆者」の要件に該当しているのに、いろんな事情から被爆者手帳の交付を受けていない人もたくさんおられます。
昔は、被爆者であること自体で差別されたりしていたために被爆者手帳を取得するのをためらったり、被爆者手帳を取得するために要求される証人を見つけることができなかったり、いろんな事情で被爆者と認められていない人がたくさんいます。
原爆投下から64年が経とうとしている今日でも、被爆者手帳をとりたくてもとれないという人がいるのです。
このような方々は、実質的には被爆者なのに、被爆者手帳が無いことで、何の救済を受けることもできません。
近畿弁護団で不定期に「被爆者なんでも電話相談」というのをやるのですが、いつも手帳取得に関する相談が多いのに驚かされます。
平成21年3月25日には、広島地方裁判所で3号被爆者7名の被爆者手帳取得を認める判決が下されました。 http://fujiwaradannchou.blog50.fc2.com/blog-entry-17.html
被爆から64年目にようやく被爆者手帳の取得が認められたのです。
このように、潜在的な被爆者はまだまだ多くおられ、この方々をどのように救済していくのかも重要な課題です。

※参考(被爆者の定義)
原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(被爆者援護法)
第1条 この法律において「被爆者」とは、次の各号のいずれかに該当する者であって、被爆者健康手帳の交付を受けたものをいう。
1.原子爆弾が投下された際当時の広島市若しくは長崎市の区域内又は政令で定めるこれらに隣接する区域内に在った者
2.原子爆弾が投下された時から起算して政令で定める期間内に前号に規定する区域のうちで政令で定める区域内に在った者
3.前2号に掲げる者のほか、原子爆弾が投下された際又はその後において、身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者
4.前3号に掲げる者が当該各号に規定する事由に該当した当時その者の胎児であった者



ありま
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2009.03.30 Mon l 初心者のための原爆症訴訟講座 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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