今回は平さんの被爆二世の裁判傍聴記ではなく、ノーモア・ヒバクシャ東京第2次訴訟判決の傍聴記を、復代理人として言い渡しに立ち会った私近畿弁護団事務局長が報告します。

2016年6月29日、東京地方裁判所民事38部(谷口豊裁判長・平山馨裁判官・馬場潤裁判官)は、6名の原告全員(遺族原告1名を含む)全員について、国の却下処分を違法として、取り消す全員勝訴の画期的判決を言い渡しました。
昨年2015年10月29日の原告17人全員勝訴の判決に続き、東京訴訟の大勝利です!!

写真は、旗だしを担当した白神、萱野、武田の若手弁護士。
東京地裁の被爆の実相を明らかにする総論書面、それに基づくプレゼンは素晴らしかったという評判です(立ち会えなかったのが残念)。

旗だし1_convert_20160630165949

判決は東京地裁103号法廷で言い渡されましたが、法廷は東京、埼玉、千葉、神奈川等からかけつけた被爆者の皆さんでびっしり満員でした。近畿訴訟は被爆者の皆さんより支援者中心ですが、傍聴席いっぱいの被爆者の姿に圧倒されます。

原告団長の山本英典さんは、集団訴訟の原告ですが、そのときには1審敗訴、控訴後に厚労省が認定(自庁取消)されたので、初めての勝訴判決ということで、ひときわ喜びが大きい。本当に嬉しそうでした。

旗だし2_convert_20160630165318

判決後、衆議院第2議員会館に場所を移し、東友会の家島さんと長谷川弁護士の司会で始まった判決報告集会。
最初に、「これまでの原爆症認定裁判の結果」について、吉田弁護士が報告。
2013年12月16日、厚労省が現行審査の方針に再改定後、2015年10月29日、東京地裁で原告17人全員勝利の大勝利を収めたが、同じ日の大阪高裁では、まさかの逆転敗訴。
その後、捲土重来を期した2016年2月25日の大阪高裁で、まさかまさかの逆転敗訴で連敗(悪夢がよみがえる)。
しかし、2016年4月11日の福岡高裁では、1審熊本地裁の勝訴原告について国の控訴を棄却。
そして、今回の6人全員勝訴。素晴らしい!!

3_convert_20160630165338.jpg

喜びの山本英典団長。
判決の言い渡しは、「主文が別表「申請者」欄記載の者がした原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項の認定の申請(同「疾病」欄記載の疾病に係るもの)につき、処分行政庁が同「処分日」欄記載の日付でした却下処分をいずれも取り消す。」と原告の名前を一人一人読み上げなかったので(大阪地裁では、読み上げることが多い)、聞いただけでは分からない。
ちょっと不親切かなと判決内容についても心配になりましたが、判決要旨を読むと、何と素晴らしい。

4山本団長_convert_20160630165357

原告水野正治さん。
広島の爆心地から2.2kmで被爆し、甲状腺機能低下症を申請疾病とする原告。

判決要旨では、「放射性物質による放射線が人の健康に及ぼす危険については科学的に十分に解明されていない」(東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律1条参照)状況にあるとされている」という記載が目に付いた。いままでの判決の中にはなかった記載で、東京弁護団が新たに主張したのだと思って確認したところ、弁護団が主張したのではないということ。裁判所が、公知の事実として記載したのか。いずれにしても、素晴らしい!

5水野さん_convert_20160630165419

(挨拶の順番は前後しますが)原告の川崎武彦さん。長崎3km、2日後に西山地区に入市という甲状腺機能低下症を申請疾病とする原告。
判決は、川崎さんのような遠距離被爆者については、「放射性降下物や誘導放射化物質による放射線の被曝や内部被曝の影響については、別途の評価を経る必要があり、個々の被爆者についての原子爆弾の被爆の状況や急性症状の有無等の具体的な事実関係のいかんによっては、急性放射線症候群が発症し得る水準の放射線被曝が確信されるような場合もあり得る」と直曝線量にこだわる国の主張を否定。

6川崎さん_convert_20160630165439

原告の立野季子さん。長崎3km、心筋梗塞。判決は、立野さんのような「現行の新しい審査の方針が積極認定の対象として定める各疾病に係る被爆距離及び入市時間の範囲には多少及ばない被爆者であっても、その被爆の状況等からみて、実質的にみて放射線被曝の程度が同等であることが推認できる者であれば、現行の新しい審査の方針において放射線起因性を原則的には積極認定するとされる者と同様に取り扱うことが要請されるべき」と判示。素晴らしい!
娘さんの差別のことをお話されていましたが、集会には娘さんも一緒に参加され、お二人とも本当に嬉しそうにされていたのが印象的でした。

7立野さん_convert_20160630165139

参議院選挙で国会議員の皆さん、ほとんど国会を留守にする中、お一人駆けつけてくれた民進党の初鹿明博議員。
貴重な時間を割いてかけつけていただいたことに感謝。
民進党の皆さんも選挙で躍進していただき、政治解決に尽力していただきたいです。

8初鹿議員_convert_20160630165506

埼玉の被爆者の会の参加者としても参加された日本被団協の田中熙巳事務局長。
これだけの被爆者の皆さんが集まれば、政治を動かすこともできるという実感。
ぜひ、これからも一緒に裁判に取り組んでほしい。

9田中さん_convert_20160630165558

判決内容の報告をする中川重徳弁護団事務局長。
中川さんも本当に嬉しそうでした。おめでとうございます!!
これからも全面解決向け、一緒にがんばりましょう。

10中川さん_convert_20160630165533

東友会代表理事の大岩孝平さん。
原告とともに裁判をたたかって来られた。
高齢の原告の皆さんに、これ以上、裁判を強いるのかと国、厚労省に控訴断念することを訴えられたが、同じ思いです。

11大岩さん_convert_20160630165645

判決に対する声明を読み上げる東友会の山田玲子さん。

12さん山田_convert_20160630170631

         2016 年6月29 日

厚生労働大臣  塩崎 恭久 殿

ノーモア・ヒバクシャ訴訟全国原告団
ノーモア・ヒバクシャ訴訟東京原告団
ノーモア・ヒバクシャ訴訟全国弁護団連絡会
ノーモア・ヒバクシャ訴訟東京弁護団
日本原水爆被害者団体協議会
一般社団法人東友会(東京都原爆被害者団体協議会)

声 明

  ノーモア・ヒバクシャ訴訟東京地裁(2次)判決について


1 本日,東京地方裁判所民事第38部(谷口豊裁判長・平山馨裁判官・馬場潤裁判官)において,6名の原告(遺族原告1名を含む)全員について,国の却下処分を違法として取り消す全員勝訴の画期的判決が言い渡された。

2 判決は,放射線起因性の判断について,援護法の趣旨に立脚し,「現時点において確実であるとされている科学的な経験則では証明できないという理由のみによって,放射線線起因性を直ちに否定することには慎重であるべきである」と判示した。
また,積極認定の距離・時間には多少及ばない被爆者について原則的には積極認定対象者と同様に扱うことが要請されるとし,距離・時間に乖離がある被爆者についても,個別的な特殊事情の有無や当該疾病の発症機序等を踏まえ放射線起因性の有無を慎重に検討すべきであると判示した。

3 今回勝訴した原告6名のうち5名は,2013年12月16日に改定された新しい審査の方針(平成25年新方針)の積極認定に関する疾病,被爆距離ないし入市時間の基準に該当しない原告である。そして,前立腺がんの要医療性が争点となった原告についても,定期的なフォローアップも必要な医療にあたるとして国の主張を斥けた。

4 厚労省は,全国の被爆者が原爆症認定集団訴訟に立ち上がる中で,2008年「新しい審査の方針」を策定して積極認定の制度を導入し,国は2009年8月6日に日本被団協代表との間で「原爆症認定集団訴訟の終結に関する基本方針に係る確認書」を締結した。この確認書には「訴訟の場で争う必要のないように,定期協議の場を通じて解決を図る」と明記されている。それにもかかわらず,厚労省は,みずから策定した「新しい審査の方針」の運用を狭め,原爆症認定行政を後退させたため,被爆者はノーモア・ヒバクシャ訴訟を全国の裁判所に提訴せざるを得ない状況となった。
  今回の東京地裁判決は,昨年10月29日の東京地裁民事第2部における17名全員勝訴の判決,本年4月11日の福岡高裁判決とともに,国の後退する原爆症認定行政を痛烈に批判し,かつ司法と行政の乖離がいまだ埋められていないことを明確に示す内容となっている。

5 原爆症認定集団訴訟以来の司法判断の流れに沿う今回の東京地裁判決に対して,国は控訴を断念し,重い病気で苦しんでいる原告らに対する早期救済をはかり,原爆被害に対する償いをはかるべきである。
  被爆71年に当たる今年5月,原爆投下国であるアメリカのオバマ大統領が広島を訪問し,「いつか証言する被爆者の声が聞けなくなる日が来るでしょう。しかし,1945年8月6日の朝の記憶は薄れさせてはなりません」と述べた。原爆症認定問題の最終的な解決をはかるべき時は今をおいてない。国は,これまでの認定行政を断罪した累次の司法判断を厳粛に受け止め,日本被団協の提言に沿って司法と行政の乖離を解消する,法改正による認定制度の抜本的な改善を行い,一日も早く,高齢の被爆者を裁判から解放すべきである。
  私たちは,国が,18万余の被爆者が生きているうちに,原爆被害に対する償いを果たすことこそが,核兵器をなくすという人類のとるべき道の歩みを進めることになると信ずる。                     以  上

最後は、懇親会でともに勝利を喜び合いました。
写真は、一度、掲げてみたかったという「全面勝訴」の旗(正式名称は「びろーん」あるいは判決等速報用手持幡というらしい)を掲げる東友会の村田未知子さん。
ノーモア・ヒバクシャ訴訟の事務局として、訴訟を支えてくれています。
今回の全員勝訴判決は、原告と被爆者を中心とする支援の皆さん、医師団、弁護団の共同の力で実現したもの。
これからもよろしくお願いします。

13村田さん_convert_20160630165711

近畿訴訟では、集団訴訟の終結に関する「8・6合意」の趣旨に反した国の控訴により、2人の原告が高裁で逆転敗訴という悔しい思いをしました。全面解決に大きく道を開くためにも、この素晴らしい判決を確定させる必要があります。
控訴期限は、7月13日(水)。
全国から厚労省へ、「控訴するな!!!」の要請をお願いします。


スポンサーサイト
2016.06.30 Thu l ニュース(原爆症裁判) l コメント (0) トラックバック (0) l top