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被爆二世の
ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟・裁判傍聴記(38)


2016年を原爆症認定制度全面解決の年に!
医師・科学者が自らの研究成果をおとしめて作成した意見書に徹底反論!
2016年1月25日(月)


 年が開けて1月20日(水)、今年最初となるノ―モア・ヒバクシャ近畿訴訟・控訴審Cグループの口頭弁論が、大阪高裁第13民事部(石井寛明裁判長)において行なわれた。昨年10月に続く2回目の口頭弁論だ。Cグループは、一審で勝訴したが国によって控訴された原告が3人、一審敗訴となったため被爆者側が控訴した原告が3人、あわせて6人の原告で争われている。法廷は202号大法廷。前回は90席の傍聴席を7割がた埋める傍聴参加だったが、今回は半数を下回る。空席の目立つ状況になってしまった。頑張らないといけない。
 この日の口頭弁論は、国側の出してきた意見書に対して原告側が反論を加える場となった。国側の出してきた意見書は、長瀧重信氏(国際被爆医療協会名誉会長)ら4人の医師、科学者が作成したもので、一審判決において甲状腺機能低下症の放射線起因性が認められた際、長瀧氏らの論文を用いて「甲状腺機能低下症及び慢性甲状腺炎と放射線との関連性について、低線量域も含めて一般的に肯定することができる」と判断されたことに異議を唱えるものであった。「一般的な肯定などしていない」、「長瀧論文は不十分さのたくさんある論文で、判決などに使うな」といったもののようで、医師、研究者たちの意見という形で出されてきたようだ。
 論文を用いられた研究者が、そのことに自らが異議を述べる形で意見書を出す、こんなやり方があるのかと、傍聴席にいて少々驚いてしまった。尚、Cグループ原告6人の内3人までが申請疾患が甲状腺機能低下症であり、いずれも一審勝訴国側控訴の原告だ。
 反論の意見陳述は濱本由弁護士によって行なわれた。濱本弁護士は、1994年に発表された長瀧論文が、甲状腺機能低下症と放射線被曝との関係を初めて明らかにした歴史的なものであり、その功績は今も世界的に評価されているのに、何故今になって自らの研究成果を貶めるような意見を述べなければならないのか、と疑問を呈することから始め、要旨以下のような陳述を行なっていった。
 原告側の今日の反論を準備するにあたっては、東神戸診療所の郷地秀夫医師に協力を依頼し、郷地先生作成の詳細な意見書が提出されている。郷地先生の意見書は、長瀧論文などを精緻に分析したもので、論文の卓越した功績を具体的に説明し、あらためて高い評価を与えたものだ。そうであるが故に、国側の意見書には合理性のかけらもない、と厳しく結論付けられている。長瀧氏ら著名な科学者が、国側の証拠として、自らの研究業績をおとしめるような内容の意見書を作成したことに大きな違和感を抱かずにはおられない。
国は今になって、甲状腺機能低下症と放射線被曝との間に一般的関連性を見出すことはできないなどと主張するが、放射線被曝と甲状腺機能低下症との関連性を認める報告や研究は長瀧論文以外にも既に多数発表されている。これらの知見をふまえ、数々の地裁、高裁においても、放射線被曝と甲状腺機能低下症を認める判決が下されてきた。厚生労働省自身も、2009年6月、甲状腺機能低下症を原爆症認定の積極的認定の対象に加えたのであり、そのことともまったく矛盾する。
国の意見書は今なおDS02にこだわって原告らの被曝線量を「ごく低線量」と決めつけるが、DS02による評価が適切でないことは判決において繰り返し指摘されてきたことだ。司法の姿勢を無視する態度は厳しく断罪されなければならない。
 さらに、甲状腺に対する内部被曝の深刻な影響の問題、放射性ヨウ素の特殊性からその影響は爆心地からの距離などでは決して推し量ることのできない問題、チェルノブイリ原発事故、福島第一原発事故で実際に発生している被害実態の例などもあげて明らかにされていった。
 机上の空論は厳に戒め、被爆者の身に実際に発生していることに向き合い、そこから因果関係を導き出す研究姿勢でなければならない。そうでなければ、放射線の人体に与える影響の真実も見えて来ず、あらゆる人工放射線被爆者の救済にもつながらない。郷地医師が意見書で述べられているこの言葉を紹介して、陳述は締めくくられた。

 いつものように大阪弁護士会館に会場を移して、やや短めの報告集会が行われた。会場では昨年まで長く使い続けてきた横断幕に代わって、新年に相応しく一新された「ノ―モア・ヒバクシャ近畿訴訟報告集会」の横断幕が掲げられ、お披露目となった。

西さん_convert_20160120173603

 意見陳述を担当された濱本弁護士からは、郷地先生から超多忙な時間の合間を縫って意見書作成に協力いただいた様子などが紹介された。郷地先生の意見書はなかなかのボリュームだが、支援のみなさんにも是非読んで欲しいということで、後日、各府県のネットワークを通じて提供されることが約束された。

濱本さん_convert_20160120173648

 報告集会には、原告のN・Mさん(女性)、柴田幸枝さんも出席され、お二人からそれぞれにあいさつが行われた。2月25日(木)は高裁Bグループ(梶川一雄さん)の判決言い渡しであり、その日が近づいている。「公正な判決を求める」署名は2448筆となり、1月7日大阪高裁宛に提出された。その他武田武俊さんの最高裁上告への準備状況なども報告された。
 報告集会の最後は、今年最初となる藤原精吾弁護団長によるあいさつで締めくくられた。

藤原先生_convert_20160120173625

 昨年私たちは、敗訴というかってない経験をした。そのために、一層気を引き締めて取り組まなければならないことを学んだ。弁護団もあらためて決意を固めあうことになった。今日の濱本弁護士の陳述は、そうした決意を反映した充実した内容であったと思う。
 長瀧意見書は全国すべての裁判に提出されている。したがって今日の濱本弁護士の意見陳述は、全国の訴訟に活用され、大きく巻き返しをはかっていくきっかけとなるものだ。1月30日には全国弁護団会議を開催し、これからの、今年のとりくみを協議することになっている。年内中に、いやもっと早く全面解決することをめざしていきたい。2月25日の高裁Bグループ、梶川さんの判決も必ず勝利し、インパクトあるものにしなければならない。
 目を外に広げると、ビキニ被災漁船乗組員が労災認定を求める運動を始めると報じられている。原水爆の問題は広島・長崎だけで終わっているわけではない。アメリカや、その他の核保有国の、そして日本の国も責任が問われていかなければならない問題だ。
 間もなく、東日本大震災、福島第一原発事故発生の3月11日、5年目を迎える。ドイツ反核法律協会や宗教者連合組織などが主催するシンポジゥム開催の案内が届いた。3月9日~11日、ドイツで、核兵器反対、ヒバクシャ支援、放射線被害の問題について、世界の人々が集う企画だ。ノ―モア・ヒバクシャ訴訟の現状と意義について報告して欲しいという依頼をいただいた。みなさんの思いを込めてしっかりと訴えてきたい。
 私たちの目標ははっきりとしている。力強く進んでいく年にしよう。


ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟今後の日程
2016年 2月 9日(木) 10:30
地裁第7民事部 806号 弁論(原告7人)
2016年 2月25日(木) 13:15 高裁B(第7民事部) 別館83号 判決(梶川さん)
2016年 3月11日(金) 11:00 地裁第2民事部 1007号 弁論(原告5人)
2016年 4月21日(木) 11:00 高裁C(第13民事部) 202号 弁論(原告6人)
2016年7月22日(金) 14:00 高裁C(第13民事部) 202号 弁論(原告6人)

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2016.01.25 Mon l ニュース(原爆症裁判) l コメント (0) トラックバック (0) l top
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