上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- -- l スポンサー広告 l top
被爆二世の
ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟・裁判傍聴記⑳
原爆症認定を小手先の改定範囲に止めようとする新たな国の攻撃を許さない!
福島原発事故被災者、原発ゼロを求める広範な人々との共同した運動を力強く!
2014年6月9日(月)
 
 
5月21日(水)福井地裁は大飯原発運転差止訴訟において「原発の運転をしてはならない」とする画期的な勝訴判決を下した。福島第一原発事故によって被災し苦しみの続く人々を励まし、原発廃棄を願って運動を続ける全国の人たち(原発ゼロを望む世論はほとんどのメディア調査で80%を超えているのだが)をこの上なく勇気づける判決となった。同じ日、京都地裁でも大飯原発差止訴訟は第4回目となる口頭弁論が行われ、裁判終了後の報告集会冒頭に福井からの朗報は届けられた。会場は歓声に湧き、公正で勇気ある判決に熱い拍手が送られた。そして、粘り強く続けている原発事故被災者救済と原発廃止を求める運動に一層の確信を持っていこうとの声と決意に包まれた。
 
大阪地裁第7民事部(田中健治裁判長)では引き続きノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟の4人の原告の審理が進められており、5月29日(木)口頭弁論が行われた。5月9日の第2民事部の判決で勝訴した二人の原告の内の一人、梶川一雄さん(伊丹市、故人、ご家族が承継)に対して国は不当にも控訴した。国は亡くなった人にまで控訴するのか、と憤りを抑えることができない。3月20日第7民事部勝訴判決の武田武俊さん(阪南市)、熊本地裁判決で勝訴した3人に次いで、国による控訴は5人目となる。
相次ぐ国控訴という新しい事態に対して、そして被告国側の準備書面で明らかにされている内容を厳しく批判することを目的に、中森俊久弁護士から原告弁護団を代表しての意見陳述が、要旨以下のように行なわれた。

原爆症認定における放射線起因性の判断基準はもはや争点とする必要がないまでに確立している。国の採用する被曝線量算定方法には大きな限界があり、内部被曝の影響を認めないなどその線量評価は過少である疑いが強く、一応の目安にしかならない。被爆者の被曝線量評価は、被爆の状況、被爆後の行動、活動内容、発症した症状等に照らし、外部被曝、内部被曝の可能性を十分に検討する必要がある。これは原爆症認定集団訴訟の2006年最初の判決から直近の大阪地裁第7民事部判決まで8年間、33回にも及ぶ司法判断で繰り返し指摘され積み上げられてきた判断基準だ。しかし国はこの司法判断に従うことなく依然として従来からの硬直した考え方に拘り、今回の裁判においても同様の主張を繰り返している。国の基準では遠距離被爆や入市被爆でも明らかになっている被爆者の実際の体験、症状などまったく説明することができない。にも関わらず、それを「科学的知見」と称して今も裁判所に迫ろうとしている。被告国こそは自己の主張と被爆者に生じた事実との矛盾に真剣に向き合わなければならない。
2009年締結された集団訴訟終結の確認書において「今後、訴訟の場で争う必要のないよう定期協議の場で解決する」ことが約束された。しかし、国はそのことを誠実に履行することなく、それどころか却下処分取り消しを命じる判決に対して控訴を行い、問題解決をひたすら先送りするという暴挙を重ねている。昨年12月16日改定したとする認定基準はこの間の司法判断に従うのではなく極めて小手先の改定をしたに過ぎない。その小手先の改定基準を維持するためだけに控訴は行われているといっても過言ではない。高齢の被爆者を早期に救済することよりも、認定基準の維持だけを優先しようとする態度は厳しく批判されなければならない。被告国は準備書面において「手厚い被爆者援護措置を広く施すことは、国民一般の理解を得られるものではない」などと述べているが、司法判断で確立した判断基準に従うことこそ、本来の国の国民に対する責務ではないか。
大飯原発運転差止を命じた福井地裁判決は、裁判所の責務として大飯原発の危険性に真正面から向き合って判断を下した。広島・長崎の原爆投下による未曾有の被害は誰もが知るところであり、被爆者の声に真摯に耳を傾け、被害の実態を解明し、実態に基づいて救済することこそ国の責務だ。被告国に対して責務の誠実な履行を求める。
口頭弁論の後、次回期日(7月22日)を確認してこの日の法廷は終了した。
 
正午から会場を大阪弁護士会館に移して報告集会が行われた。報告集会では今日の弁論を担当した中森弁護士と愛須勝也弁護団事務局長によって裁判後の訴訟進行協議の内容が報告され、被告国が原爆症認定に対してあらためて強い姿勢と構えをとろうとしている実態が明らかにされた。
口頭弁論では中森弁護士が「放射線起因性の判断基準はもはや争点とする必要がないまでに確立している」と述べた。そのことに対して被告国側代理人は法廷では何も語らなかったのに、進行協議の場では放射線起因性の判断基準は依然として重要な争点であり徹底して争うとの見解を明らかにした。そのために6月末までに原告側に対して求釈明の質問事項をあらためて提示するとのことであり、この日までに被告国側から訴訟追加資料として「原爆症認定制度の在り方検討会」の膨大な議事録と資料が提出されたとのことだ。「在り方検討会の議論と結論(報告書)」を国の主張の最大根拠とするらしく、その結果に基づいて改定したとする「小手先の」認定基準(昨年12月16日)から一寸でも外れるものはすべて控訴してでも争い続ける、というのがあらためて示された国の方針だ。
昨年末の認定基準見直しの検討経過の中では、被爆者救済の認定基準を広げてしまえば福島の原発事故被災者救済に大きな影響を及ぼすことになり、そのことは絶対に阻まなければならないとの厚生労働省の本音、率直な意思が示されていたとの確かな情報も紹介された。ノーモア・ヒバクシャ訴訟はもはや被爆者救済だけの問題でなくなっていることが今日の動向の中で明らかになってきている。
尾藤廣喜弁護団幹事長から報告集会のまとめが行われたが、今日の事態の背景、主要因を二つの点から示された。一つは安倍自公政権による社会保障大削減、切り捨て政策の一環であること。「公助から自助へ」を旗印に、社会保障に大ナタを振るう自公政権は、年金も切り下げ、生活保護も攻撃し、医療も介後も大改悪しようとしてきている。そんな中で被爆者救済のみ例外とすることなどできるわけがない、というのが本音だ。被爆者援護も削減方向に舵を切られようとしている。もう一つは福島原発事故対策をできるだけ狭い範囲に止め、将来発生する放射能健康被害に対しての因果関係を今から厳しく否定し封じ込めておこうとする策謀だ。このことは原発事故被災者対策に止まらず、エネルギー政策、国政の根幹にまで及ぶ問題として捉えられている。この二つのことが一体となって原爆症認定制度の真の改定を求める運動に立ちはだかろうとしている。この間の事態が示しているのは、そうした国の強い意志の宣言だ。
ノーモア・ヒバクシャ訴訟は広島・長崎の被爆者の完全救済をはかるとともに、あわせて放射線の危険性を告発し、あらゆる核被害の除去、核廃絶も目的にしてきた。福島の被災者との共同した闘い、全国の原発廃止を求める人たちとの共同した運動が、今具体的な必要性、緊急性をもって求められてきている。こうした情勢の中での原爆症認定訴訟の重要性をあらためて認識しよう。近畿の運動が全国の原爆症認定訴訟においても、福島との関係でも積極的な役割を果たしていけるようにしよう、と報告集会はまとめられた。
集会ではその他、新規提訴者が1人あり、この他にもさらに2人検討中であることも紹介された。そして6月7日の「ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟全面勝利をめざす学習・交流集会」を必ず成功させようとの訴えがなされ、参加者全員で確認して散会した。
 
その6月7日「学習・交流集会」は大阪社会福祉指導センターを会場に51人の参加で開催された。二人の方の講演が予定されており、最初に東京から駆けつけられた日本被団協の田中熙巳事務局長から「原爆症認定制度の現状と課題」と題した講演が行われた。原爆症認定制度の歴史、3年間に及ぶ「原爆症認定制度のあり方検討会」に孤軍奮闘の形で参加されてきた実情などがリアルに話された。そして6月3日~4日の日本被団協総会においてノーモア・ヒバクシャ訴訟を全面的に支援する決議が行われたという、力強いメッセージが報告された。

DSCN2350_convert_20140607152458.jpg
 
 次に、大阪原水協事務局長の小松正明さんから「NPT再検討会議第3回準備委員会への要請行動に参加して」のレポートが、パワーポイント画像を使って行なわれた。日本政府や核保有国が核抑止力政策に依然として拘り続けているのに対して、圧倒的多数の国々、国際世論は核兵器廃絶に向けて大きなうねりを作り出している現状が生き生きと紹介された。

DSCN2351_convert_20140607152553.jpg

 近畿弁護団を代表して中森俊久弁護士から「裁判闘争の現局面について」とする報告が行われた。2000年の松谷訴訟最高裁判決以来の全判決資料を紹介しながら原爆症認定訴訟の歴史についてふりかえりが行なわれ、その上で現在国がとろうとしている開き直りとも言える方針の要点について、最近の資料も示しながら説明された。福島原発事故による避難者賠償訴訟の状況も紹介され、それとの関係でも国側が必死になってノーモア・ヒバクシャ訴訟に対応しようとしている状況が報告された。

DSCN2358_convert_20140607152711.jpg

講演と報告を受ける形で、近畿訴訟に参加している大阪、奈良、兵庫、京都の各府県それぞれのとりくみ状況とこれからの決意が述べられた。
「学習・交流集会」の最後は尾藤弁護団幹事長によってまとめが行われた。「何故、今、国は控訴なのか?」という問いかけを設定し、5月29日の第7民事部裁判後の報告集会と同じく2つの背景、要因が簡潔に語られた。特に原発事故被害対策に関わる“福島シフト”と語られるまでの状況が形成されつつあり、それへの注目が集まる中でのノーモア・ヒバクシャ訴訟であることが強調された。間もなく8月6日、8月9日を迎える時期となるが、それに向けて政治がどう動くかも見据えて頑張っていこう。近畿から問題解決への狼煙を上げていこうとのよびかけが行われた。

DSCN2362_convert_20140607181627.jpg

最後に西晃弁護士から4つの行動提起(①係争中の訴訟勝利、②控訴棄却署名のとりくみ強化、③認定基準の抜本的改定、④核兵器廃絶と原発ゼロ社会の実現)が提案され、参加者全員の拍手で確認し、集会を終了した。

DSCN2363_convert_20140607181719.jpg

  4月下旬漫画雑誌ビックコミック・スピリッツに掲載された連載人気漫画『美味しんぼ(福島の真実編)』をめぐって波紋が広がり、問題は一般マスメディアでも報道されてきた。
掲載された漫画に対して、政府、閣僚から福島県、関係自治体、識者と呼ばれる専門家・「科学者」までがコメント、見解を明らかにしたが、多くは作品に対する批判、抗議、攻撃的なもので『美味しんぼ』バッシングとでも言うべき状況が生まれた。
バッシングの事態を見て、被爆者の原爆症認定訴訟の構図を、国が一貫してとってきた被爆者に対する態度を想起せずにはおられなかった。すなわち、被爆者の浴びた放射線量算定はDS02等で定められていて、その基準の許す範囲でしか放射線起因性の病気発症はあり得ない。内部被曝の人体影響も認められていない。それが今日の「科学的知見」なのだ。基準を外れて発症した人たちの病気原因は、喫煙であったり、生活習慣病その他であったりで放射線とは関係ない、というものだ。「知見」の方から枠を決めてしまうやり方だ。
しかし被爆者は、自らの放射線被曝線量がどの程度であったり、放射線が病気にどのように影響したのかなどの知識をもって原爆症認定申請したり、却下されれば裁判に訴えてきたわけでは決してない。あくまで原点は自身の体験だ。凄惨な被爆体験、急性症状、戦後の過酷な闘病人生、同じ状況下で被爆した家族や友人が先に亡くなっていった事実等々から、自身の病気は原爆によるものとの確信を持ち、その体験を出発点に訴えてきたのだ。被爆者の体験に揺るぎない確信があればこそ、多くの心ある医師、科学者、弁護士等によって問題解明への努力は行なわれ、訴えは支持され、運動は継続されてきた。内部被曝の危険性の証明がなされ、放射線被曝と循環器系疾患との間にしきい値はないとする知見等が示されてきたのは、その典型だ。
福島の人たちの訴えは、鼻血一つにしても、体験に対する実態把握の真剣な調査活動はどこまで行なわれたのか?そのようなこともなされないまま、いきなり「低線量被曝での鼻血発生は証明されていない」などと「知見」によって否定する姿勢は、国の被爆者に対するそれと変わらない。鼻血の事実はない、低線量被曝で鼻血は出ない、風評被害だ、県民差別の助長だなどとする攻撃は、被曝に苦しみ、真相に迫ろうとする人々への抑圧にしかならない。そして真実は覆い隠され、被災者の救済、真の問題解決への扉を閉ざすことにつながっていく。終戦から戦後の時代、原爆の研究・究明は禁じられ、報道は抑圧され、一切が闇に閉ざされて被爆者救済に12年間もの空白を作り出した歴史と重なる。
こうした状況の中、5月21日、「鼻血は事実~福島の母親『美味しんぼ』言論抑圧に抗議!」と題する会見が行われた。福島県下在住の5人の母親と3人の弁護士ほか関係者による会見で、実際に多くの子どもたちに鼻血は発生していたという勇気ある証言が行われた。インターネットで配信されて見ることができたのだが、実際に多くの人々が鼻血を含めて、健康不安を抱かざるを得ない体験が迫身の訴えで明らかにされている。
福島県では18歳以下の子ども達の甲状腺がん調査で、5月19日、濃厚な疑い含めて患者数が遂に90人にのぼることが発表された。通常の甲状腺がん発症率と比較してあまりにも多い異常としか言いようのない多発状態だ。それでも県は「原因は原発事故放射線によるものとは考えにくい」とする欺瞞に満ちた見解を出し、依然として原発事故放射線との関係を否定し続けている。
 ノーモア・ヒバクシャ訴訟を含む原爆被爆者救済の運動と、現在も被曝し続けている可能性の高い福島原発事故被災者の運動とを、一体のものとしてとりくみを進めていく必要性はいよいよ高まっている。
 
 
ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟今後の日程                                                     
7月11日(金)
13:30
第2民事部
1007
第6・7・9・11次
結審
7月22日(火)
11:30
第7民事部
806
 
弁論
 
スポンサーサイト
2014.06.14 Sat l ニュース(原爆症裁判) l コメント (0) トラックバック (0) l top
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。